2024年7月、厚生労働省において「令和6年度中央最低賃金審議会目安に関する小委員会(第5回)」が行われ、最低賃金が全国平均で時給1054円と決まりました。
過去最大の50円引き上げ額となり、22年連続で増加となりました。
現在最低賃金の引き上げが進んでいることは、労働者にとっての追い風と言えます。しかし、賃金の上昇が必ずしもすべての労働者や社会にとってプラス面だけとは限りません。
そこで本記事では、各都道府県の最低賃金を見ていきながら、時給が上がることによる課題はどういったものがあるのかを解説していきます。ぜひ最後までご覧ください。
1. 「最低賃金」には2種類ある?全国平均で「時給1054円」へ
厚生労働省は「最低賃金制度」を以下のように定義しています。
最低賃金制度とは、最低賃金法に基づき国が賃金の最低額を定め、使用者は、その最低賃金額以上の賃金を労働者に支払わなければならないとする制度です。
1.1 「最低賃金」には2種類ある
地域別最低賃金
- 都道府県ごとに定められている、産業や職種にかかわりなく、都道府県内の事業場で働くすべての労働者とその使用者に対して適用される最低賃金
特定最低賃金
- 産業別最低賃金とも呼ばれ、特定地域内の特定の産業について、関係労使が基幹的労働者を対象として「地域別最低賃金より金額水準の高い最低賃金を定めることが必要」と認めるものについて設定される最低賃金
(2024年3月末日現在、全国で224件)
「最低賃金」には、地域別最低賃金と、特定最低賃金の2種類があり、使用者は高い方の最低賃金額以上の賃金を支払うこととされています。
2024年7月24日、厚生労働省の中央最低賃金審議会において、2024年度の最低賃金の目安を全国平均で50円引き上げ「時給1054円」にすると決定。
なお政府は「2030年代半ばごろまでに全国平均1500円を目指す」と表明しています。この先のさらなる引き上げに注視したいところですね。