現在、円安や国際的な情勢の影響により、物価上昇が続いています。特に年金生活を送るシニア世帯にとっては、生活費の負担が増し、以前よりも経済的に厳しいと感じる方も少なくないでしょう。

こうした状況を受け、日本では2019年から「年金生活者支援給付金」という制度が導入されました。この制度は、年金収入が一定の基準に満たない場合に給付金を支給する仕組みです。

この記事では、年金生活者支援給付金の受給要件や具体的な給付額について詳しく解説します。また、記事の後半では、老後を安心して過ごすための資産形成の方法についてもアドバイスをお伝えします。ぜひ参考にしてみてください。

1. 「年金生活者支援給付金」は誰が受け取れる?要件を確認

年金生活者支援給付金は、年金や他の所得が低く、生活が困難なシニア世帯を支援するために支給される給付金です。

この給付金を受け取れるのは、「老齢基礎年金(国民年金)」「障害年金」「遺族年金」を受給している人の中で、特定の要件を満たす人です。

【写真全5枚中1枚目】生活者支援給付金の要件(老齢年金・障害年金・遺族年金)、2枚目以降で年金生活者支援給付金の「給付基準額」や手続きフローをチェックする

年金生活者支援給付金の要件

出所:厚生労働省「「年金生活者支援給付金制度」について」

たとえば、老齢基礎年金(国民年金)を受給している方が「年金生活者支援給付金」を受け取るには、以下の要件を全て満たしている必要があります。

1.1 「老齢年金生活者支援給付金」の要件を確認

  • 65歳以上の老齢基礎年金の受給者である
  • 同一世帯の全員が市町村民税非課税である
  • 前年の公的年金等の収入金額※1とその他の所得との合計額が昭和31年4月2日以後に生まれの方は88万9300円以下、昭和31年4月1日以前に生まれの方は88万7700円以下※2である。

    ※1 障害年金・遺族年金等の非課税収入は含まれません。
    ※2 昭和31年4月2日以後に生まれた方で78万9300円を超え88万9300円以下である方、昭和31年4月1日以前に生まれた方で78万7700円を超え88万7700円以下である方には、「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給されます。

次に、障害年金もしくは遺族年金を受給している人の場合は、下記の要件を全て満たしていれば、「障害年金生活者支援給付金」もしくは「遺族年金生活者支援給付金」を受け取ることが可能です。

1.2 「障害・遺族年金生活者支援給付金」の要件を確認

  • 障害基礎年金もしくは遺族基礎年金の受給者である
  • 前年の所得が472万1000円以下である

ただし、以下の条件に該当する場合は、たとえ年金生活者支援給付金の要件を満たしていても、支給対象外となる可能性があります。

  • 日本国内に住所がないとき
  • 年金が全額支給停止のとき
  • 刑事施設等に拘禁されているとき

年金生活者支援給付金の対象かどうか詳しく確認したい方は、お近くの市町村窓口や年金事務所に相談することをおすすめします。

次章では、年金生活者支援給付金の具体的な給付額について見ていきます。