4. 【厚生年金】夫婦が「約46万円」も支給されるのはなぜ?
2024年度の厚生年金の年金額例は、夫婦2人分で「月に約23万円」となっています。
しかし、実際の年金支給日に支給される金額は「約46万円」です。
支給額が約46万円になる理由は、公的年金は2ヶ月分まとめて支給されるためです。
年金は原則として年に6回、偶数月の15日(もし15日が土日祝日の場合は直前の平日)に2ヶ月分が支給されます。
例えば、次の年金支給日は2024年12月ですが、この日に支給されるのは「2024年10月分」と「2024年11月分」の2ヶ月分の年金です。
したがって、月に23万円の年金を受け取れる世帯の場合、合計で46万円(2ヶ月分)が振り込まれます。
年金の支給ルールは年金生活者にとってはよく知られていますが、現役世代や初めて年金を受け取る人には「毎月支給されない」ということがあまり認識されていません。
現役時代の給与と収入を受け取る間隔が異なるため、老後の家計収支をシミュレーションする際は、年金支給日のタイミングも考慮することが重要です。
5. 老後資金を準備する方法
今回は標準的な夫婦世帯が年金支給日に約46万円支給されるケースについて詳しく解説しました。
老後資金を準備するためには、まず「逆算」の考え方が重要です。最初に、自分が老後にどのくらいの資産を必要とするのかを計算することから始めましょう。
そのための手がかりとして、将来どのくらいの年金を受け取れるのかを確認するのが大切です。これは「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で確認できます。
次に、老後に必要な資金の総額から年金で受け取れる金額を差し引きます。その差額が、自分で準備しなければならない老後資金になります。
この不足分を補う方法としては、預貯金で準備する方法もありますが、物価の上昇を考慮しなければなりません。物価が上がると、お金の価値が下がるため、現在の100万円が将来も同じ価値を維持できるわけではありません。そのため、ただお金を貯めておくだけでは不十分になる可能性があります。
この問題を解決するために「資産運用」を取り入れるのもひとつの方法です。資産運用を行うことで、物価の上昇に対応できる可能性が高まります。最近は「新NISA」を活用する人も増えています。NISA制度は投資初心者でも利用しやすく、資産形成の入り口として人気が高い制度です。
ただし、投資を行う際にはリスク管理が欠かせません。資産運用で考えられるリスクをきちんと理解したうえで、選択肢のひとつとして検討するのがよいでしょう。
老後資金の準備を進めるためには、まず「将来必要な金額を知ること」が大切です。不足資金を把握できたら、資産運用なども活用しながら、リスクを抑えつつ資産を増やしていく方法を検討してみてはいかがでしょうか。
※金額等は執筆時点での情報にもとづいています。
参考資料
- 国税庁「民間給与実態統計調査」
- 厚生労働省「令和6年度の年金額改定についてお知らせします」
- 厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 日本年金機構「大切なお知らせ、「ねんきん定期便」をお届けしています」
- 日本年金機構「ねんきんネット」
堀江 啓介