筆者はファイナンシャルプランナーとして日々お客様のお金にまつわる相談に対応していますが、2024年に入ってから特に相談件数が増加しています。その大きな理由の一つが、2024年からスタートした新NISAの影響だと考えられます。
お客様からの相談内容は、新NISAの仕組みについての基本的な質問から、どの銘柄を選べばよいかという具体的な投資のアドバイスまで多岐にわたります。
資産運用に関心を持つ方が増えた背景には、老後資金への不安があると感じています。少子高齢化の進行や物価上昇なども影響しており、年金だけでは老後の生活が不安だと考える人が多いのです。
老後資金の中心は公的年金ですが、今後の年金制度がどう変化するか不透明なため、年金だけに頼らず、自分で資産を形成しようとする動きが広がっています。老後資金を効率的に準備するためにも、まずは年金制度の仕組みを理解することが大切です。
本記事では、年金制度の基本的な仕組みを解説するとともに、老後資金を効率的に準備する方法についてもお伝えしていきます。
1. 日本の公的年金「厚生年金と国民年金」について仕組みをおさらい
定年までまだ時間がある現役世代の方の中には、日本の公的年金制度の基本的な仕組みについて詳しく知らない方も多いかもしれません。
しかし、老後の生活を安心して迎えるためには、今からその基本を理解しておくことが重要です。
ここではまず、日本の公的年金制度の基本的な仕組みや、老後に備えて知っておきたいポイントを見ていきましょう。
日本の公的年金は、上記の図に示されているように、「国民年金」と「厚生年金」の2階建て構造となっています。
1階建て部分にあたるのが「国民年金」、2階建て部分にあたるのが「厚生年金」です。
1.1 【1階部分】国民年金とは?
国民年金は、日本国内に住む20歳以上60歳未満の全ての人が加入する基礎年金で、老後の基本的な生活費を支える役割を果たします。
保険料は毎年度見直されますが、全員が一律で同じ金額を支払うことになっています。
将来受け取る年金額は納付期間に基づいて決まり、仮に40年間保険料を滞りなく支払えば、満額の年金を受け取ることができます。
1.2 【2階部分】厚生年金とは?
厚生年金は、主に会社員や公務員が加入する年金で、国民年金に上乗せされる形で支給され、より充実した老後の生活を支えるためのものです。
保険料は収入に応じて変動し(上限あり)、加入期間や納付額によって将来受け取る年金額が決まります。
厚生年金は、年収に応じて保険料が変わるため、将来の受給額に大きな差が出るのが特徴です。
次章では、2024年度の国民年金と厚生年金それぞれの具体的な年金額の例を見ていきましょう。