5. リタイアしない選択肢も。「申請しないともらえない給付金」高年齢求職者給付金
もし十分な貯蓄や年金が望めない場合は、リタイアせずに働き続けるという選択肢も視野に入れることとなるでしょう。
実際、一般的な年金受給開始年齢である65歳以降も、働き続けるシニアが増えています。しかし歳を重ねてからの求職活動は、必ずしもスムーズに進むケースばかりではありません。
今回は、65歳以上の人が失業した際に受け取れる「高年齢求職者給付金」についてご紹介します。
5.1 高年齢求職者給付金の支給要件
- 対象者:高年齢被保険者(65歳以上の雇用保険加入者)で失業した人
- 支給要件:下記の全ての要件を満たした人
- 離職の日以前1年間に被保険者期間が通算して6カ月以上ある
- 失業の状態にある:離職し「就職したいという積極的な意思といつでも就職できる能力(健康状態・家庭環境など)があり積極的に求職活動を行っているにもかかわらず就職できない状態」を指す
5.2 高年齢求職者給付金の給付金額
- 被保険者であった期間が1年未満:30日分の基本手当相当額
- 被保険者であった期間が1年以上:50日分の基本手当相当額
なお、65歳未満が受け取る「失業手当」は4週間に一度ずつ失業認定を受けてから給付されますが、高年齢求職者給付金は一括支給となります。
6. まとめにかえて
今回は、今のシニア世帯の年金額や家計の収支など、お金事情について確認していきました。
夫婦世帯の年金額は家計によって大きく異なることがわかりました。あくまで現在の年金制度の水準のため、今後少子高齢化により将来の年金額が減少する可能性もゼロではありません。
また物価上昇も考えると、余裕を持って老後資金を準備するに越したことはありません。
老後資金を準備するためには、貯蓄や資産運用を早めのうちから始めることが大切です。
なかなかお金がたまらないという方は、先取り貯蓄をすることをおすすめします。「毎月いくら貯める」という目標を立て、給与から先に他の銀行口座に移しておくと良いでしょう。
また老後まで逆算した結果、毎月の積立額が足りないという方は資産運用を視野に入れることもひとつです。
ただし、投資においてはリスクが伴うため、投資リスクを理解しながら、自分にあった運用方法を取り入れることが大切です。
長期・分散・積立をすることによって、できる限りのリスクは軽減できると言われています。
老後に向けて、できることを早めのうちから始めてみてはいかがでしょうか。
参考資料
- 総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要」
- 総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2024年(令和6年)平均結果-(二人以上の世帯)」
- 厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします~年金額は前年度から 1.9%の引上げです~」
- 厚生労働省「離職されたみなさまへ<高年齢求職者給付金のご案内>」
菅原 美優