働き世代の多くが老後の生活に不安を覚える現代。筆者も前職で金融機関に勤務していましたが、20歳代30歳代の方から、定年間近の50歳代の方まで多くの方が「老後に備えて何かしらの準備をしたい」と不安を口にしていました。
実際、定年を迎えて年金生活を送る高齢者が「年金だけではとても生活できない」と口を揃えて言っているのを耳にしたことがある方も多いのでは。
では、実際にいまのシニアはどのくらいの年金収入で老後の生活を支えているのでしょう。
今回は、令和シニアの厚生年金と国民年金の受給状況を見ていきながら、私たち現役世代に必要な老後への備えについて考えていきたいと思います。
※金額等は執筆時点での情報にもとづいています。
1. 公的年金「国民年金と厚生年金」とは?仕組みと特徴をおさらい
年金の仕組みは少し複雑に感じるかもしれませんが、「2階建て構造」と考えると理解しやすくなります。
まず、1階部分が「国民年金」で、すべての人が加入する基礎年金で、老後の最低限の生活費を補う役割を担っています。
そして、2階部分が「厚生年金」で、主に会社員や公務員などが加入するもので、国民年金に上乗せする形で支給され、現役時代の収入に応じた金額が受け取れる仕組みです。
それぞれの役割をもう少し詳しく見ていきましょう。
1.1 国民年金(1階部分)の役割
国民年金は、日本国内に住む20歳から60歳未満の方なら、基本的に全員が加入する義務があります。
2024年度の保険料は月額「1万6980円」で、この金額は毎年見直されます。
支払った保険料の合計によって、将来受け取れる年金額が決まり、未納なく納め続けていれば満額(2024年度は月額6万8000円)が受給できます。
1.2 厚生年金(2階部分)の役割
厚生年金は、主に会社員や公務員が加入している年金制度で、国民年金に上乗せする形で支給されます。
厚生年金は、給料やボーナスに応じて保険料が支払われ、基本的に収入が多いほど受け取る年金額も増えますが、上限が設定されている点に注意が必要です。
では、実際のシニア世代が受け取っている年金額はどの程度なのでしょうか。
厚生労働省「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」を参考に、国民年金と厚生年金(国民年金を含む)の平均月額を見ていきましょう。