自分たちの老後に、一体いくらの厚生年金を受給できるのか。多くの場合、仕事をリタイアした後は年金収入が生活の柱となってきます。
少子高齢化が叫ばれ始めてから、公的年金制度が維持し続けられるのか、自分の時にはあまり年金が受取れないのではないかと心配する人の声もよく聞こえてきます。
現状としても、2025年以降団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となることで、働き手の不足や一層の医療費・介護費の増大、現役世代の社会保険料の負担増などが予想されており、「2025年問題」と呼ばれる状況もすぐ目の前です。
そこに追い打ちをかけるように、円安の進行や物価高も重なり、現役世帯も高齢者世帯も日々の生活費の負担増をリアルに感じるようになりました。
長らくデフレと言われてきた日本もインフレのある世界となったことで、お金との付き合い方が今まで通りでよいのか、再考する必要が出てきたと言えます。
このような状況を踏まえ、今回は年金生活者にフォーカスをあて、年金受給のリアルな現状を一緒に確認していきます。
また、どのような人が「年金生活者支援給付金」を受け取ることができるのか、その対象者や金額についても見ていきましょう。
老後に向けてどんなお金との付き合い方や備えが必要なのか、記事の後半ではFPの立場から現役世代の読者に向けてもアドバイスしていきます。
1. 低年金シニア世帯の支えとなる「年金生活者支援給付金」とは?
「年金生活者支援給付金」は、年金や他の所得が一定の基準を下回る年金受給者に対して、生活支援を目的として年金に上乗せして支給される給付金です。
年金生活者支援給付金は2019年10月1日に開始された比較的新しい制度であり、消費税率の引き上げ分がその財源となっています。
年金生活者支援給付金は、原則として2ヶ月に1回、公的年金と同じ日に支給され、偶数月の15日に2ヶ月分が一度に振り込まれます。
1.1 「年金生活者支援給付金」の種類は全部で3つ
年金生活者支援給付金には、以下の3種類があり、それぞれの年金の種類によって受給要件や支給額が異なります。
- 老齢年金生活者支援給付金:老齢年金(国民年金)を受給している人が対象
- 障害年金生活者支援給付金:障害年金を受給している人が対象
- 遺族年金生活者支援給付金:遺族年金を受給している人が対象
制度創設時の試算によれば、老齢年金生活者支援給付金の対象者は約610万人、障害年金と遺族年金生活者支援給付金の受給者は合計で約200万人でした。
このように、多くの年金受給者がこの給付金の対象となっていますが、実際にどのような条件を満たす人が支給を受けられるのでしょうか。
次章では、それぞれの給付対象者の詳細な要件について確認していきましょう。