2. 貯蓄が減少する要因にはどんなものがある?
総務省の「家計調査報告」によれば、2023年の勤労者世帯の貯蓄現在高は1474万円となっており、前年に比べて34万円(2.3%)の減少となりました。貯蓄額が減少した要因としては、以下のようなことが考えられます。
- 賃金の伸びが物価の上昇に追いついていない
- 支出額が増えている
賃金の伸び率が物価の上昇に追いついていないことは、貯蓄の減少の大きな要因です。前述のとおり国税庁の「民間給与実態統計調査」では、令和5年の日本の平均給与は約460万円、伸び率は0.4%との結果が出ました。
一方、同年の消費者物価指数の平均総合指数は2020年時点と比べて3.2%の上昇と、賃金の伸びを大きく上回っています。
賃金の伸びが物価の上昇に追いつかないと「給与が増えないのにものがどんどん値上げされていく」という悪循環に陥ります。
この状態が続くと、毎月のように赤字が発生して貯蓄を取り崩して生活しなければならない世帯が増えてしまうのです。
物価の上昇が止まらないと、支出額が増えていきます。収入・支出がともに増えるのであれば問題ありませんが、収入が変わらず支出だけが増えていけば、当然生活は苦しくなります。
貯蓄額の減少は、現在の経済状況を反映した切実な結果といえるでしょう。
では、貯蓄を少しでも増やし、余裕を持って老後を迎えるにはどのような工夫が必要なのでしょうか。次章で解説します。