老後にゆとりある生活を送りたいと憧れる方は多いと思います。長い社会人生活を終えて、家族と過ごしたり趣味に打ち込んだりする時間を持つのは、想像するだけで幸せを感じますよね。
筆者はファイナンシャルプランナーとして、また過去に証券会社や生命保険会社で働いていた経験から、多くの方からお金に関するご相談をいただいてきました。お客様のお話を聞く中で、老後の準備が十分でない方が多いと感じることがあります。
たとえば、収入も安定していて預金もそれなりにあると思っていたご家庭でも、実際には老後資金が不足しており、年金額を把握していなかったために老後の収入が予想よりも少なかったケースもあります。
こうした背景からも、ゆとりある老後を迎えるには、早めに準備を進めることが大切です。老後の生活の柱となる「年金」について理解を深めることは、将来の生活設計を考えるうえで重要です。
この記事では、「年金」の仕組みについて詳しく解説し、老後資金の準備方法もあわせてご紹介していきます。
1. 厚生年金「60歳~90歳以上」の平均年金月額
まずは、厚生労働省「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとに、厚生年金の年齢別年金月額を見ていきます。
厚生年金の被保険者は第1号~第4号に区分されており(※)、ここでは民間企業などに勤めていた人が受け取る「厚生年金保険(第1号)」(記事内では「厚生年金」と表記)の年金月額を紹介します。
※厚生年金の被保険者区分
第1号:下記第2号~第4号以外の、民間の事業所に使用される人
第2号:国家公務員共済組合の組合員
第3号:地方公務員共済組合の組合員
第4号:私立学校教職員共済制度の加入者
なお、記事内で紹介する厚生年金保険(第1号)の年金月額には国民年金の月額部分も含まれています。
1.1 【60歳代】厚生年金《年齢別》平均月額の一覧(60歳~69歳)
- 60歳:厚生年金9万4853円
- 61歳:厚生年金9万1675円
- 62歳:厚生年金6万1942円
- 63歳:厚生年金6万4514円
- 64歳:厚生年金7万9536円
- 65歳:厚生年金14万3504円
- 66歳:厚生年金14万6891円
- 67歳:厚生年金14万5757円
- 68歳:厚生年金14万3898円
- 69歳:厚生年金14万1881円