「老後は悠々自適に過ごしたい」と思い描く方もいますが、年金収入だけで過ごせるのでしょうか。
理想の老後を迎えるための準備として、厚生年金と国民年金の平均受給額を知ることも大切です。たとえば、理想的な老後の一例として「退職後は猫を迎えたい」と考える方もいるでしょう。
モノの値段が上がる中で、ペットを飼うコストも増加傾向にあります。アニコム損害保険株式会社が2023年に実施した調査によると、飼い猫に対し1年間にかける費用は平均17万円であり、前年比105.3%と増加しています。
一方で、退職後は現役時に比べてどうしても収入が減るので、収入源の管理は大事ですよね。
そこで今回は、厚生年金と国民年金の受給額について「60歳代~80歳代」の年齢別で紹介します。記事後半では、猫を飼う費用についても見ていきましょう。
1. 老後の収入源「国民年金と厚生年金」の仕組み
公的年金は「国民年金と厚生年金」の2階建て構造となっており、加入状況によって将来の年金受給額も異なります。
1.1 1階部分:国民年金の概要
国民年金には、日本に住む20歳から60歳未満のすべての人が原則として加入します。
全員一律(年度ごとに見直し)の保険料を納めるので、もらえる年金額に個人差がつきにくいのが特徴です。全期間(40年間)保険料を納付した場合は満額が支給され、未納や免除期間がある人はその分少なくなります。
1.2 2階部分:厚生年金の概要
厚生年金には、会社員や公務員など(パート・アルバイト従業員など特定適用事業所で働き一定要件を満たした方も含む)が、国民年金に上乗せして加入します。
保険料は収入に応じて算出され、企業と折半して負担します。加入期間や納めた保険料により年金額が決定しますが、上限があるため一定額を超えると頭打ちとなります。
老後に受け取れる年金額は、現役時代の働き方や収入、加入期間などで左右されることを理解しておきましょう。
こちらを踏まえた上で、参考までに「平均受給額」をご紹介します。
2. 【一覧表】厚生年金「60歳代~80歳代」の平均月額はいくら?
厚生労働省の「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」を参考に、まずは60歳代~80歳代の厚生年金の平均月額をみていきます。
※金額は、いずれも国民年金との合計です。
2.1 60歳代の厚生年金の平均月額
- 60歳:厚生年金9万4853円
- 61歳:厚生年金9万1675円
- 62歳:厚生年金6万1942円
- 63歳:厚生年金6万4514円
- 64歳:厚生年金7万9536円
- 65歳:厚生年金14万3504円
- 66歳:厚生年金14万6891円
- 67歳:厚生年金14万5757円
- 68歳:厚生年金14万3898円
- 69歳:厚生年金14万1881円
※65歳未満の厚生年金保険(第1号)の受給権者は、特別支給の老齢厚生年金の定額部分の支給開始年齢引き上げにより、報酬比例部分のみ
2.2 70歳代の厚生年金の平均月額
- 70歳:厚生年金14万1350円
- 71歳:厚生年金14万212円
- 72歳:厚生年金14万2013円
- 73歳:厚生年金14万5203円
- 74歳:厚生年金14万4865円
- 75歳:厚生年金14万4523円
- 76歳:厚生年金14万4407円
- 77歳:厚生年金14万6518円
- 78歳:厚生年金14万7166円
- 79歳:厚生年金14万8877円
2.3 80歳代の厚生年金の平均月額
- 80歳:厚生年金15万1109円
- 81歳:厚生年金15万3337円
- 82歳:厚生年金15万5885円
- 83歳:厚生年金15万7324円
- 84歳:厚生年金15万8939円
- 85歳:厚生年金15万9289円
- 86歳:厚生年金15万9900円
- 87歳:厚生年金16万732円
- 88歳:厚生年金16万535円
- 89歳:厚生年金15万9453円
3. 【一覧表】厚生年金「60歳代~80歳代」の平均月額はいくら?
続いて同資料を参考に、国民年金の平均受給額も確認します。厚生年金の上乗せがない分、金額は全体的に低くなります。
3.1 60歳代の国民年金の平均月額
- 60歳:国民年金4万2616円
- 61歳:国民年金4万420円
- 62歳:国民年金4万2513円
- 63歳:国民年金4万3711円
- 64歳:国民年金4万4352円
- 65歳:国民年金5万8070円
- 66歳:国民年金5万8012円
- 67歳:国民年金5万7924円
- 68歳:国民年金5万7722円
- 69歳:国民年金5万7515円
※65歳未満の国民年金の受給権者は繰上げ支給を選択したものです
3.2 70歳代の国民年金の平均月額
- 70歳:国民年金5万7320円
- 71歳:国民年金5万7294円
- 72歳:国民年金5万7092円
- 73歳:国民年金5万6945円
- 74歳:国民年金5万6852円
- 75歳:国民年金5万6659円
- 76歳:国民年金5万6453円
- 77歳:国民年金5万6017円
- 78歳:国民年金5万5981円
- 79歳:国民年金5万5652円
3.3 80歳代の国民年金の平均月額
- 80歳:国民年金5万5413円
- 81歳:国民年金5万5283円
- 82歳:国民年金5万7003円
- 83歳:国民年金5万6779円
- 84歳:国民年金5万6605円
- 85歳:国民年金5万6609円
- 86歳:国民年金5万6179円
- 87歳:国民年金5万6030円
- 88歳:国民年金5万5763円
- 89歳:国民年金5万5312円
働き方が多様化する中、何歳で定年退職を迎えるのかも個人差が開きつつあります。
厚生年金と国民年金の平均月額について、年齢による大きな差はほとんどないものの、受給額への印象はそれぞれではないでしょうか。
冒頭でもお伝えしたとおり、年金額は現役時代の働き方や収入、加入期間などで左右されます。興味を持たれた方は、ねんきんネットやねんきん定期便などで「自分自身の年金見込額」を確認してみることをおすすめします。
最後に、理想の老後の一例として「猫を迎えた生活」について考えます。
4. 【理想の老後】猫を飼うために必要な費用
働いている間はペットと触れられる時間が少なく、かわいそうな思いをさせるからと、我慢している猫好きの方もいます。このような方の中には、退職後にペットを迎え入れる方もいるでしょう。
家族が増える喜びや温かみがあり、仕事を引退する寂しさも癒してくれるかもしれません。
一般社団法人ペットフード協会「令和5年 全国犬猫飼育実態調査」によると、1年以内飼育開始者のうち、60歳代は7.7%、70歳代は6.9%でした。
一方で、犬や猫を飼うのは「かわいい」「癒される」だけではなく、責任が伴います。フードや医療費はもちろんのこと、ペット保険料や予防接種費、飼育に伴う光熱費の増加など、多くの経費がかかるものです。
アニコム損害保険株式会社が2024年3月7日に公表した「2023最新版 ペットにかける年間支出調査」によると、猫の飼育にあたり1年間にかける費用は、平均で約17万円となりました。
- ケガや病気の治療費:3万6617円
- フード・おやつ:5万2328円
- サプリメント:3902円
- シャンプー・カット・トリミング料:2814円
- ペット保険料:2万8097円
- ワクチン・健康診断等の予防費:1万3864円
- ペットホテル・ペットシッター:2115円
- 日用品:1万2796円
- 洋服:268円
- ドッグランなど遊べる施設:10円
- 首輪・リード:946円
- 防災用品:1264円
- 交通費:441円
- 光熱費(飼育に伴う追加分):1万3819円
- 合計:16万9281円
5. 理想の老後を迎えるために「収入と支出」のシミュレーションを
今のシニアが受給する厚生年金・国民年金の平均額を確認しました。
もし老後に猫を飼育するには、年間で約17万円の費用が平均でかかります。年金収入でまかなえるのか、収入と支出のシミュレーションが必要になるでしょう。
今回は理想の老後の一例として「ペット」を挙げましたが、それぞれ理想とする老後は異なります。旅行やDIY、ガーデニングや孫への援助など、退職後の楽しみは人それぞれですよね。
まずは自分自身が受け取れる「年金額」を知ることから始めてみてはいかがでしょうか。
参考資料
- 厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
- アニコム損害保険株式会社「2023最新版 ペットにかける年間支出調査」
- 一般社団法人ペットフード協会「令和5年 全国犬猫飼育実態調査」
太田 彩子