2024年10月10日、日本銀行が発表した「生活意識に関するアンケート調査」によると、9月時点で「ゆとりがでてきた」と感じる人はわずか5.3%、逆に「ゆとりがなくなってきた」と答えた人は52.7%に達しました。
つまり、半数以上が日々の生活に余裕を感じていないのです。
この状況で「老後はどうなるのか?」と考えると、現状のインフレや物価高騰がさらに心配材料として浮かんできますよね。
そこで、皆さんに考えてほしいのは「老後資金としていくら必要だと思いますか?」ということです。
そして、その金額が具体的に何にどれくらいかかるか、把握できているでしょうか?
老後の支出は複雑で、医療費や介護費用、趣味の時間、日々の生活費など、多方面から考えなければなりません。
現在の高齢者世帯が月々どの程度の収入と支出をしているかを知ることは、自分の将来設計を考えるうえで役立つでしょう。
まずはデータをもとに今の高齢者の生活水準を理解し、自分の理想の老後をイメージしてみましょう。
1. 「65歳以上の無職夫婦世帯」の平均貯蓄額はいくら?直近の推移も確認
総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2023年(令和5年)平均結果-(二人以上の世帯)」によると、世帯主が65歳以上の無職世帯の平均貯蓄額は2504万円でした。
2018年から2023年までの推移を見てみましょう。
1.1 2018年から2023年までの平均貯蓄額の推移
- 2018年:2233万円
- 2019年:2218万円
- 2020年:2292万円
- 2021年:2342万円
- 2022年:2359万円
- 2023年:2504万円
2018年から2020年までは2200万円台だった平均額は、2021年からは2300万円台に上昇。2023年には2500万円の大台に乗っています。
平均額だけを見ると、夫婦世帯の老後資金の目安のひとつともされる「2000万円」のラインは超えていますね。金融資産の内訳割合を見ると、定期性預貯金がやや低下する一方で、有価証券が上昇傾向にあります。
シニア世帯にとっての貯蓄は、年金生活を支える大切な柱。現役時代にコツコツと続けてきた節約・家計管理の成果です。
また、65歳以上世帯となれば、定年退職金の受け取りや相続など、まとまった収入で貯蓄額がいっきに引き上げられた世帯も一定数含まれているでしょう。
余剰資金の範囲で資産運用をおこない、お金を「守りながら、育てる」視点を持つのも一案ですね。NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)を活用した資産づくりも、長生きリスクや年金不安への対策のひとつとして有益と言えるでしょう。