かつては「一億総中流社会」と呼ばれ、バブル崩壊以降「失われた30年」とも言われている日本経済。
そんな中、日本でも「富裕層」が少しずつ増えているという事実をご存じでしょうか。
一般家庭においては、昨今の物価高から実施賃金もなかなか上がり切らない状況の中、なかなかゆとりを感じられない厳しい状況が続いています。
日本とよく比べられるアメリカは、経済も賃金の上昇も強く、日本より豊かなイメージがあるかもしれませんが、高所得層と低所得層の格差(二極化)が問題視されており、日本もその傾向が強くなりつつあるのかもしれません。
「富が富を呼ぶ」とはよく言いますが、アメリカの家計の金融資産の内訳を見てみると、約50%は株式や投資信託などの金融商品が占めています。
一方、日本の家計の金融資産の約50%は預貯金。日本は長らく金利がほぼゼロに近い状態が続いていたため、なかなかお金が増えない資産構成となっているのかもしれません。
そんな中、なぜ日本でも富裕層が増えてきているのか?本記事では日本の富裕層がどのくらいいるかを含め解説します。
そのうえで、富裕層のカード利用データをもとに、彼らの消費傾向や資産管理の方法について詳しく見ていきましょう。
1. 日本の富裕層の割合はどのくらい?最新データ
出所:株式会社野村総合研究所「野村総合研究所、日本の富裕層は149万世帯、その純金融資産総額は364兆円と推計 | ニュースリリース | 野村総合研究所(NRI)」
今回は、野村総合研究所が公表するニュースリリース「野村総合研究所、日本の富裕層は149万世帯、その純金融資産総額は364兆円と推計」をもとに、日本の富裕層の実態について整理します。
同資料によると、純金融資産が1億円以上5億円未満の「富裕層」と、5億円以上の「超富裕層」を合わせた世帯数は148万5000世帯。割合にすると全体の約2%です。
1.1 【一覧表】富裕層の世帯数と保有資産規模
- 超富裕層(5億円以上):9万世帯/105兆円
- 富裕層(1億円以上5億円未満):139万5000世帯/259兆円
- 準富裕層(5000万円以上1億円未満):325万4000世帯/258兆円
- アッパーマス層(3000万円以上5000万円未満):726万3000世帯/332兆円
- マス層(3000万円未満):4213万2000世帯/678兆円
2021年の「超富裕層・富裕層」の世帯数合計、および純金融資産保有額は、2013年以降ずっと増加傾向にあります。
その背景には、保有する有価証券などの資産価格が上がり、準富裕層が富裕層に、富裕層が超富裕層にスライドしたことなども挙げられます。
その一方で、いわゆる「普通の家庭」であるマス層の多くが、物価上昇に家計を圧迫されるこんにち。富裕層が増えているなんてピンと来ないという人もいるかもしれません。
そこで、次では、富裕層が増える「もう一つの背景」についても考えていきます。