2024年9月15日に総務省が発表した「統計トピックスNo.142 統計からみた我が国の高齢者-「敬老の日」にちなんで-」によると総人口が減少する中で、65歳以上人口は3625万人と過去最多となり、総人口に占める割合は29.3%と過去最高という結果が出ました。
筆者は元信用金庫職員ですが、偶数月の15日は、窓口やATMに年金を引き出しに来店されるお客様が多かったことを思い出します。
年金制度は、少なくとも5年ごとに国民年金及び厚生年金の見直し、財政検証が行われています。
昨今では少子高齢化社会が進行しており、保険料を支払う現役世代が減少して、年金が目減りするのではないかとも言われています。
今回は、公的年金制度のおさらいと年金平均受給額、そして理想の老後生活を送るための対策方法をお伝えします。
1. 【国民年金と厚生年金はどう違う?】日本の公的年金制度をおさらい
まずは、日本の公的年金制度について簡単におさらいしておきましょう。
日本の年金制度は「国民年金」と「厚生年金」の2種類から構成されており、2階建て構造となっています。
1.1 国民年金(基礎年金)はどんな人が受け取れる?
国民年金は、原則日本に住む20歳から60歳未満の全員が加入対象で、保険料は一律です。
つまり、保険料を納めていれば、日本に住む全員が受け取れる年金となっています。
年金額は、納付期間によって決まり、未納なく納めていた場合は2024年度は満額で月6万8000円を受け取れます。
1.2 厚生年金はどんな人が受け取れる?
厚生年金は、主に会社員、公務員などが加入対象で、保険料は報酬比例制です。
年金額は加入期間や納付保険料により決定し、年収が高く加入期間が長いほど、受け取れる年金額は増額します。
年金の仕組みや金額は個人によって異なるため、「自分がどの年金タイプに加入してるのか」しっかり確認しておくことが大切です。
2. 2.7%の増額改定!2024年度の「国民年金と厚生年金」はいくらか
年金は毎年度、改定がされており2024年度の年金額は2.7%増額となりました。
国民年金の場合、満額で月額6万8000円、厚生年金ではモデル夫婦の合計で23万483円となっています。
国民年金は個人単位での金額ですが、厚生年金の金額は夫婦2人分を合計したものです。
この「モデル夫婦」とは、夫が標準的な収入(標準報酬月額43万9000円、賞与も含む)で40年間働き、老齢基礎年金と老齢厚生年金を受け取る場合を基準に試算された金額です。
上記で提示された厚生年金額は、標準報酬月額が限定的であるため、参考にならない方もいるかもしれません。
そこで、現役時代の「夫婦の収入ごと」の年金額の例も確認してみましょう。
- 夫が報酬54万9000円+妻が報酬37万4000円:33万4721円
- 夫が報酬43万9000円+妻が報酬30万円:29万4977円
- 夫が報酬32万9000円+妻が報酬22万5000円:25万5232円
- 夫が報酬54万9000円+妻が短時間労働者の平均的な収入:28万4588円
- 夫が報酬43万9000円+妻が短時間労働者の平均的な収入:26万967円
- 夫が報酬32万9000円+妻が短時間労働者の平均的な収入:23万7346円
- 妻が報酬37万4000円+夫が短時間労働者の平均的な収入:24万7101円
- 妻が報酬30万円+夫が短時間労働者の平均的な収入:23万978円
- 妻が報酬22万5000円+夫が短時間労働者の平均的な収入:21万4854円
- 夫婦ともに短時間労働者だった場合の平均的な収入:19万6968円
- 夫が報酬54万9000円+妻が国民年金のみ加入:25万4104円
- 夫が報酬43万9000円+妻が国民年金のみ加入:23万483円
- 夫が32万9000円+妻が国民年金のみ加入:20万6862円
- 妻が報酬37万4000円+夫が国民年金のみ加入:21万6617円
- 妻が報酬30万円+夫が国民年金のみ加入:20万494円
- 妻が報酬22万5000円+夫が国民年金のみ加入:18万4370円
上記の年金額例から分かるように、現役時代の収入や働き方によって年金額には大きな差が生じます。
つまり、共働き世帯、パートタイムで働いていた方、また収入が低めだった方など、それぞれ受け取る金額が異なるのです。
そのため、「モデルケースはあくまで参考」と捉え、ご自身の年金見込み額を事前に確認しておくことが重要です。