年金生活を送る方で、少しでも家計の負担を抑えたいと考えている方は多いと思います。
実際、資産形成の相談を受けている筆者の仕事でも、65歳以上のお客様で年金を活用して、老後の生活を豊かにしたいという問い合わせが毎日のように存在しています。
年金を運用して増やしたいというニーズは一定数あるものの、やはり老後にリスクをとって運用を継続することに抵抗感がある人も。一方、今年の10月から年金の定額減税がスタートしたことで、リスクゼロで手取り額が増えた方もいるでしょう。
この記事では65歳以上の年金受給者の方に向けて、年金制度や定額減税の制度をわかりやすく説明していきたいと思います。
この機会に「年金手取り額が変わる」しくみを詳しく把握し、豊かな年金生活の備えにしていきましょう。
1. 年金の「定額減税」とは?仕組みについて解説
2024年6月から所得税の「定額減税」が実施されています。定額減税は今年限りの施策であるものの、年金から天引きされる所得税や個人住民税が減税されるため、適用されれば年金の手取りが増えることになります。
定額減税によって、所得税は最大3万円、住民税は最大1万円まで減税されます。
年金は、偶数月の4月・6月・8月・10月・12月・2月に、ひと月おきで支給されます。
給付額が一定以上の場合、年金から税や社会保険料などが天引きされますが、定額減税の施策によって、所得税と住民税がそれぞれ3万円と1万円に到達するまで減税されるという仕組みです。
所得税については、6月の年金支払分から減税が開始しています。
年金の支給1回あたりに、所得税が3万円も徴収されるという方は少ないです。その場合、残った分は次の支払分での減税へと回されます。
また、上限額まで減税しきれないと見込まれる方には、別途調整給付金の支給もあります。
さらに、所得税に続いて、10月支給の年金からは住民税の定額減税も始まりました。
こちらも所得税と同じように、1回の支払分で減税しきれない場合には、12月支給分以降の年金からも合計1万円に到達するまで減税が行われます。
これらの施策により、「普段よりも年金の手取りが多いな」と感じた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
また、定額減税以外の理由によっても、年度途中の10月分から年金の手取り額が変わることもあります。