4. 理想的な老後生活の実現に向けて
本記事では、老齢年金の平均受給額と天引きされるお金について解説してきました。
老齢年金は2カ月に1度の支給となります。毎月ではなく2カ月分がまとめて振り込まれるため、生活費を慎重に管理する必要があります。
ただし、現代のシニア世代の年金受給額を見ると、年金収入だけで毎月の生活費をカバーするのは容易でないことが分かります。
冒頭で申し上げたとおり、現役世代の人たちは老後に向けた資産形成が必須となるでしょう。
すでに銀行の定期預金や積立預金などで老後資金の準備を進めている人もいるかもしれません。
ただし、低金利が続いている現状を踏まえると、預貯金だけで準備するのは効率が悪いかもしれません。
2024年から新NISA制度がスタートしたことを機に、毎月の貯金の一部を資産運用に充てられるという方も増えています。
資産運用は銀行預金と違い元本割れのリスクがある点は注意が必要ですが、貯金だけと比べて効率的にお金を増やせる可能性があります。
ただし、リスクの付き合い方は人それぞれであるため、自分のリスクにあった方法を選ぶのが重要です。
5. 【ご参考】年金に関する疑問や不安を解消!よくある質問を解説
日本の公的年金制度は複雑で、多くの人がさまざまな疑問を抱えていることでしょう。ここでは、年金に関するよくある質問を取り上げ、その解答を解説します。
5.1 年金の主な種類と仕組みは?
日本の公的年金は「国民年金」と「厚生年金」の2階建て構造になっています。
国民年金は日本国内に住む20歳以上60歳未満の全ての人が加入する基礎年金で、厚生年金は会社員や公務員が加入するものです。
国民年金は一定の保険料を納付し、将来の年金額が決まるのに対し、厚生年金は収入に応じた保険料を支払うため、将来の受給額にも差が出ます。
5.2 「繰下げ受給」とはどんな制度?
年金の受給開始年齢を遅らせることで、受給額が1カ月につき0.7%増える「繰下げ受給」があります。
例えば、65歳から受給を開始する予定を75歳0カ月まで繰り下げると、84%増額となります。これは、長期間働くことができる人や、他の収入源がある人にとって有利な選択肢となります。
5.3 年金を増やす方法はあるのか?
年金を増やす方法はいくつかあります。自営業やフリーランスの方は、国民年金の付加保険料を支払うことで、将来の受給額を増やせます。
また、厚生年金に加入する働き方に切り替えることも一つの方法です。
さらに、老後資金を増やすという意味では、投資信託やiDeCo(個人型確定拠出年金)などを利用して、自身で資産運用を行うのも選択肢です。ただし、運用にはリスクがあることに注意が必要です。
参考資料
- 厚生労働省「保険料(税)の特別徴収」
- 厚生労働省「介護保険制度の概要」
- 厚生労働省「高齢期における年金制度」2023年10月24日
- 豊中市「公的年金からの特別徴収額が10月から急に高くなったのはなぜですか」
- 厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
奥野 友貴