住民税は、基本的には前年度の収入に基づいて税額が決まりますが、収入が低いと非課税になるケースがあります。
今回の記事では、住民税の仕組みや非課税となる要件を解説しながら、年金世帯の夫婦が住民税非課税世帯となるケースについて考えていきたいと思います。
1. 住民税の基本的な仕組み
住民税は、前年の所得に比例する「所得割」と自治体ごとに非課税世帯を除いて均等に課せられる「均等割」から成り立っています。
たとえば、東京都中央区の場合は次の通りです。
- 均等割:特別区民税均等割3500円+都民税均等割は1500円(計5000円)
- 所得割:特別区民税:6%+都民税:4%(計10%)
この後紹介する「非課税世帯」というのは、基本的に所得割と均等割がともに0円の世帯を指します。
2. 住民税が非課税となる要件は自治体によって微妙に異なる
前年度の収入が基準を下回ると、住民税は非課税となります。
所得割の方が基準が高めに設定されていて「均等割だけ課税」の世帯と「均等割・所得割が共に非課税」の世帯があります。
非課税となる基準は、地域の生活実態や支出状況をふまえて設定されている「級地区分」によって異なります。
ここで「級地」とは、各自治体を各地の所得水準などから区分したもので、大枠の分け方は次のとおりです。
- 1級地:東京23区、指定都市(16/20)など
- 2級地:県庁所在市、一部の市町など
- 3級地:一般市・町村など
また、各自治体の非課税となる基準は次のとおりです。
- 1級地(東京都中央区):35万円×(本人と同一生計配偶者+扶養親族数)+10万円+21万円(扶養親族等がいる場合)
次は「均等割」がかからないケースです。
- 2級地(千葉県柏市):31万5千円×(本人と同一生計配偶者+扶養親族数)+10万円+18万9千円(扶養親族等がいる場合)
- 3級地(埼玉県秩父市):28万円×(本人と同一生計配偶者+扶養親族数)+10万円+16万8千円以下(扶養親族等がいる場合)
なお、東京都23区内で「住民税非課税世帯」に該当する条件は、以下のとおりです。
- (1) 生活保護法による生活扶助を受けている方
- (2) 障害者・未成年者・寡婦又は寡夫で、前年中の合計所得金額が135万円以下(給与所得者の場合は、年収204万4000円未満)の方
- (3) 前年中の合計所得金額が下記の方
同一生計配偶者又は扶養親族がいる場合:35万円×(本人・同一生計配偶者・扶養親族の合計人数)+31万円以下
同一生計配偶者及び扶養親族がいない場合:45万円以下
概して、都市部の方が相対的に非課税となる所得のハードルが高く設定されている傾向にあります。
ここからは、大都市などの1級地を想定して年金世帯の夫婦が住民税非課税となる水準についてまとめていきます。
3. 年金世帯の夫婦(65歳以上)が住民税非課税となるケースとは?
夫婦二人暮らしの場合で、非課税となる金額についてみていきましょう。ここでは、夫婦ともに年金収入のみであるとします。
なお、夫妻の年齢や扶養親族の有無、住む地域および控除項目の状況によって、実際の非課税となる収入額の上限は変わってくる点はご留意ください。
まず、シンプルな妻の所得上限ですが、155万円となります。
- 45万円(住民税が非課税になる所得額)+110万円(公的年金等控除)=155万円
45万円は次のように計算します。(1級地のケース)
- 35万円×(本人と同一生計配偶者+扶養親族数)+10万円+21万円(扶養親族等がいる場合)=35万円×1(本人のみ)+10万円 = 45万円
※21万円は「扶養親族等」がいないため適用されない。
1級地に住んでいる住民税非課税世帯の計算式は、以下のとおりです。
- 35万円×2(夫と妻の2人)+31万円=101万円(住民税が非課税になる所得額)
年金収入は110万円の公的年金等控除が受けられるため、101万円に110万円を足します。
- 101万円+110万円=211万円
この場合、住民税非課税世帯になる年金収入額の目安は、211万円以下となります。
なお、ここまで複数の前提を設定しているように、非課税となる収入の上限はさまざまな要件によって変化します。
自身の非課税上限を厳密に確認したい場合は、自治体や専門家に確認しましょう。
4. まとめにかえて
今回は年金世帯の夫婦が住民税非課税世帯になる収入額の目安を紹介してきました。
住民税非課税世帯にはさまざまな優遇措置があります。働きながら年金受給しているシニアも増えているため、非課税となる要件についてはあらかじめ確認しておくとよいでしょう。
※金額や要件などは自治体等によって異なるので、個別の相談・お問い合わせにはお答えできません。
参考資料
中本 智恵