4. 「老後資金づくり」は働き盛りの今から始めよう
老後の主な収入源となる公的年金からは住民税や所得税、健康保険料、介護保険料等が引かれ、実際の手取り額はねんきん定期便に記載の金額より少なくなってしまいます。
2022年度末時点の厚生年金と国民年金を合わせた平均額面が約20万円なので、そこから更に上記のものが引かれるとなると、年金だけでは足りないと感じる方も多いのではないでしょうか。
働き世代はなるべく早く老後資金の準備をしていくことで、老後に対する不安を解消したいものです。
例えば老後のための貯金を月5万円ずつしていくとすると、
- 25歳から65歳の40年間:2400万円
- 45歳から65歳の20年間:1200万円
貯蓄だけでも1200万円の差が出てきます。
また、この5万円をNISAなどで資産運用した結果、年6%の利回りで増やすことができた場合
- 25歳から40年間:元金2400万円に対して9957万円
- 45歳から20年間:元金1200万円に対して2310万円
このように7647万円という大きな差が出てきます。
そのため、働き世代の方は出来るだけ長く、老後の資金対策をすることで、より安心した老後を迎えることができるのです。
5. 【ご参考】年金に関する疑問や不安を解消!よくある質問を解説
日本の公的年金制度は複雑で、多くの人がさまざまな疑問を抱えていることでしょう。ここでは、年金に関するよくある質問を取り上げ、その解答を解説します。
5.1 年金の主な種類と仕組みは?
日本の公的年金は「国民年金」と「厚生年金」の2階建て構造になっています。
国民年金は日本国内に住む20歳以上60歳未満の全ての人が加入する基礎年金で、厚生年金は会社員や公務員が加入するものです。
国民年金は一定の保険料を納付し、将来の年金額が決まるのに対し、厚生年金は収入に応じた保険料を支払うため、将来の受給額にも差が出ます。
5.2 「繰下げ受給」とはどんな制度?
年金の受給開始年齢を遅らせることで、受給額が1カ月につき0.7%増える「繰下げ受給」があります。
例えば、65歳から受給を開始する予定を75歳0カ月まで繰り下げると、84%増額となります。これは、長期間働くことができる人や、他の収入源がある人にとって有利な選択肢となります。
5.3 年金を増やす方法はあるのか?
年金を増やす方法はいくつかあります。自営業やフリーランスの方は、国民年金の付加保険料を支払うことで、将来の受給額を増やせます。
また、厚生年金に加入する働き方に切り替えることも一つの方法です。
さらに、老後資金を増やすという意味では、投資信託やiDeCo(個人型確定拠出年金)などを利用して、自身で資産運用を行うのも選択肢です。ただし、運用にはリスクがあることに注意が必要です。
参考資料
- 国税庁「民間給与実態統計調査」
- 厚生労働省「生活設計と年金に関する世論調査(主な調査結果)」
- 厚生労働省「保険料(税)の特別徴収」
- 厚生労働省「介護保険制度の概要」
- 厚生労働省「高齢期における年金制度」2023年10月24日
- 豊中市「公的年金からの特別徴収額が10月から急に高くなったのはなぜですか」
- 厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
宗形 佑香里