年金生活者支援給付金は、主に低所得の年金受給者を支援するための制度です。
この制度は2019年に導入され、対象となる人には給付金が支給されます。受給者は年金額に応じて給付金が支払われ、生活費の一部を補助する役割を果たしています。
対象者には9月以降請求書が送付され、手続きが完了した方は10月分(12月支給)から年金に上乗せ支給されることになっています。
今回は、どのような人がこの給付金を受け取れるかについて、制度の仕組みを解説していきます。
また、シニア世帯のお金情についても考察していますので、ぜひ参考にしてみてください。
1. 年金にプラスで支給される「年金生活者支援給付金」とは?
「年金生活者支援給付金」は、年金収入だけでは生活が厳しい方を支援するために、年金に加えて支給される制度です。
この制度は、消費税が8%から10%に引き上げられた2019年10月に導入されました。
給付金には3種類あり、受給している年金の種類や所得によって異なります。
- 老齢年金生活者支援給付金
- 障害年金生活者支援給付金
- 遺族年金生活者支援給付金
制度導入時の試算では、老齢年金生活者支援給付金を受け取れる人は約610万人に上り、さらに障害年金や遺族年金の給付金対象者は約200万人が受給対象とされています。
2. 年金生活者支援給付金の対象者は?各要件を確認
次に、具体的に誰が「年金生活者支援給付金」を受け取れるのか、要件を整理していきましょう。
2.1 老齢年金生活者支援給付金の要件は?
- 65歳以上の老齢基礎年金の受給者
- 同一世帯の全員が市町村民税非課税
- 前年の公的年金等の収入金額(※1)とその他の所得との合計額が昭和31年4月2日以後に生まれの方は88万9300円以下、昭和31年4月1日以前に生まれの方は88万7700円以下(※2)
※1 障害年金・遺族年金等の非課税収入は除く
※2 昭和31年4月2日以後に生まれた方で78万9300円を超え88万9300円以下である方、昭和31年4月1日以前に生まれた方で78万7700円を超え88万7700円以下である方には「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給されます。
2.2 障害年金生活者支援給付金の要件は?
- 障害基礎年金の受給者
- 前年の所得(※1)が472万1000円(※2)以下
※1 障害年金等の非課税収入は、年金生活者支援給付金の判定に用いる所得には含まれません。
※2 扶養親族等の数に応じて増額
2.3 遺族年金生活者支援給付金の要件は?
- 遺族基礎年金の受給者
- 前年の所得(※1)が472万1000円(※2)以下
※1 遺族年金等の非課税収入は、年金生活者支援給付金の判定に用いる所得には含まれません。
※2 扶養親族等の数に応じて増額
3. 「年金生活者支援給付金」の給付基準額はいくら?
続いて、2024年度の「年金生活者支援給付金」の支給額を見ていきましょう。
「年金生活者支援給付金」の支給額は毎年改定されますが、2024年度は増額となっています。
3.1 老齢年金生活者支援給付金の給付基準額をチェック
2024年度における「老齢年金生活者支援給付金」の給付基準額は5310円です。
なお、上記はあくまで「基準額」であり、実際は、保険料の納付済期間や免除期間に基づいて最終的な支給額が決まります。
たとえば、1956年(昭和31年)4月2日以降に生まれ、保険料を満期の480カ月間支払った方の場合、この5310円がそのまま支給されます。
3.2 障害年金生活者支援給付金の給付基準額をチェック
- 障害等級2級:月額5310円
- 障害等級1級:月額6638円
3.3 遺族年金生活者支援給付金の給付基準額をチェック
- 月額5310円
支給額は月額基準となっていますが、実際には2ヶ月ごとに「2ヶ月分」がまとめて振り込まれます。
年額に換算すると約6万円が支給されることになり、これは家計にとって大きな助けとなる支給額といえます。
4. 年金生活者支援給付金を受け取るためには「申請が必要」
年金生活者支援給付金は、年金を受け取るだけでは自動的に支給されず、給付金を受け取るためには「別途手続き」が必要です。
本章では、「これから年金を受け取る人」と「すでに年金を受け取っている人」それぞれの申請方法について解説していきます。
4.1 これから新たに「年金を請求する人」の場合
これから新たに「年金を請求する人」の場合、65歳になる誕生日の約3ヶ月前に「老齢基礎年金の請求書」と共に、給付金の請求書が送付されます。
この書類が届いたら、必要事項を簡単に記入し、年金の請求書と一緒に提出するだけで手続きが完了します。
4.2 すでに「年金を受け取っている人」の場合
すでに年金を受け取っている人で、収入が減少した場合も、年金生活者支援給付金の対象になるケースがあります。
この場合、毎年9月1日以降に「年金生活者支援給付金の請求書(はがき型)」が順次送られてきます。
この請求書が届いた場合は、太枠の中に必要事項を記入し、ポストに投函するだけで手続きが完了します。
ただし、繰上げ受給をしている方は、書類が異なる部分があるため、確認が必要です。
一度手続きが完了すれば、毎年の更新手続きは原則不要で、前年の所得に基づいて自動的に給付が決まります。
次に、現在のシニアがどれくらいの年金収入を受け取っているのかを見ていきましょう。
5. 「国民年金・厚生年金」は平均でどのくらい受け取れるの?
厚生労働省の「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金・国民年金それぞれの平均月額は下記のとおりです。
5.1 厚生年金の平均月額・受給割合
- 〈全体〉平均年金月額:14万3973円
- 〈男性〉平均年金月額:16万3875円
- 〈女性〉平均年金月額:10万4878円
※国民年金の金額を含む
- 1万円未満:6万1358人
- 1万円以上~2万円未満:1万5728人
- 2万円以上~3万円未満:5万4921人
- 3万円以上~4万円未満:9万5172人
- 4万円以上~5万円未満:10万2402人
- 5万円以上~6万円未満:15万2773人
- 6万円以上~7万円未満:41万1749人
- 7万円以上~8万円未満:68万7473人
- 8万円以上~9万円未満:92万8511人
- 9万円以上~10万円未満:112万3972人
- 10万円以上~11万円未満:112万7493人
- 11万円以上~12万円未満:103万4254人
- 12万円以上~13万円未満:94万5662人
- 13万円以上~14万円未満:92万5503人
- 14万円以上~15万円未満:95万3156人
- 15万円以上~16万円未満:99万4044人
- 16万円以上~17万円未満:104万730人
- 17万円以上~18万円未満:105万8410人
- 18万円以上~19万円未満:101万554人
- 19万円以上~20万円未満:90万9998人
- 20万円以上~21万円未満:75万9086人
- 21万円以上~22万円未満:56万9206人
- 22万円以上~23万円未満:38万3582人
- 23万円以上~24万円未満:25万3529人
- 24万円以上~25万円未満:16万6281人
- 25万円以上~26万円未満:10万2291人
- 26万円以上~27万円未満:5万9766人
- 27万円以上~28万円未満:3万3463人
- 28万円以上~29万円未満:1万5793人
- 29万円以上~30万円未満:7351人
- 30万円以上~:1万2490人
5.2 国民年金の平均月額・受給割合
- 〈全体〉平均年金月額:5万6316円
- 〈男性〉平均年金月額:5万8798円
- 〈女性〉平均年金月額:5万4426円
- 1万円未満:6万5660人
- 1万円以上~2万円未満:27万4330人
- 2万円以上~3万円未満:88万1065人
- 3万円以上~4万円未満:266万1520人
- 4万円以上~5万円未満:465万5774人
- 5万円以上~6万円未満:824万6178人
- 6万円以上~7万円未満:1484万7491人
- 7万円以上~:178万3609人
実は、平均年金額と実際のボリュームゾーンは必ずしも一致しません。
年金額は、現役時代の収入や加入期間によって大きく異なるため、高額の年金を受け取っている人もいれば、生活がギリギリの人も存在します。
とはいえ、どんなに年金が多い場合でも、老後になると収入が現役時代に比べて大幅に減少するのは多くの人が抱える共通の悩みといえます。
だからこそ、年金だけに頼らず、「貯蓄」や「投資」、「他の収入源」を考えておくことが大切です。
6. 年金だけに頼らず「貯蓄」や「投資」などの選択肢も
今回の記事では、「年金生活者支援給付金」の概要や、現在の年金受給額を踏まえた老後生活の実態について確認しました。現状、年金だけで老後の生活が安定するとは言い難く、特に物価上昇の影響がある今、国からの給付金だけでは安心できないと感じる方も多いのではないでしょうか。
そのため、老後の生活にゆとりを持つためには「自助努力」が不可欠です。このような背景から、国はiDeCoやNISAといった税制優遇の制度を整え、資産形成を支援しています。さらに、保険会社の提供する個人年金保険など、様々な積み立て方法も選択肢のひとつとなるでしょう。
ただし、こうした投資や積み立てにはリスクも伴います。例えば、金融商品を利用する場合、元本割れのリスクもあり、資産が減少する可能性もあるため、投資はあくまで自己責任で行う必要があります。そのため、まずは将来の目標額を明確にし、自分の資金状況やリスク許容度に応じた選択肢を選ぶことが重要です。
第一歩として、自分の現状を見つめ直し、老後に必要な資金を見積もることから始めましょう。目標額が定まれば、どのような商品を選び、どの程度のリスクを許容できるのかも明確になります。将来に備え、自分に合った対策を早めに始めることが、安心した老後生活への鍵となるでしょう。
7. 【ご参考】年金に関する疑問や不安を解消!よくある質問を解説
「年金は複雑だなぁ…」と思う人は多いのではないでしょうか?でも、ちょっとしたポイントを押さえると、意外と分かりやすくなります。ここでは、年金についてよくある質問を分かりやすく解説していきます。
7.1 年金ってどんな仕組み?
まず、日本の公的年金は「2階建て」の仕組みになっています。土台にあたるのが「国民年金」、その上に「厚生年金」が重なる2階建て構造です。
国民年金
国民年金は、20歳から60歳未満の全員が対象で、自営業やフリーランスの方が主に加入しています。毎月決まった保険料を払う仕組みとなっています。
厚生年金
会社員や公務員が加入するのが「厚生年金」。厚生年金は収入に応じて保険料が変わるので、将来もらえる年金額もその人の収入次第になる部分が大きいです。
7.2 「繰下げ受給」って何?
年金は普通65歳からもらうものなのですが、「もう少し働けそうだし、今すぐもらわなくてもいい」と思う人には、「繰下げ受給」という選択肢があります。簡単に言うと、受け取りを遅らせることで将来の年金が増える仕組みです。
例えば、65歳で受け取る予定を75歳まで遅らせると、年金額が84%も増えます。
もし健康で他の収入源があるなら、繰下げ受給は検討する価値があるでしょう。
7.3 年金や老後資金を増やすには?
「どうやったらもっと年金や老後資金を増やせるのか?」というのは気になるところですよね。繰下げ受給のほかにもいくつか方法があります。
国民年金の付加保険料を払う
自営業やフリーランスの方には少しだけ追加で保険料を払うことで、将来もらえる年金額を少し増やすことができます。
厚生年金に加入する
もし可能なら、厚生年金に加入するのも一つの手です。会社員になったり、厚生年金が適用される働き方を選ぶと、将来もらえる年金が増えます。
資産運用
さらに、iDeCo(個人型確定拠出年金)や投資信託で資産運用をするという選択肢もあります。ただし、運用にはリスクもあるので、始める前によく考えた方がいいですね。
これで、年金の基本が少しクリアになったでしょうか?一歩一歩理解を深めていくことで、将来への準備がしっかり進められるでしょう。






