厚生労働省年金局の「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金の平均受給額(国民年金を含む)は「14万3973円」とのことでした。
年金収入が月額14万台となると、現役時代の収入より少ないと感じる方が多いのではないでしょうか。
厚生年金は会社員や公務員等の方が加入し、受給額は現役時代の収入や加入期間によって変動します。
そのため、パート勤務の方や途中で独立して国民年金に切り替えた方などは、厚生年金の受給資格があっても平均受給額より少ない傾向にあります。
そのような中、一定の条件を満たした低年金世帯には「年金生活者支援給付金」が給付されます。
本記事では、「年金生活者支援給付金」の制度の仕組みや給付金額について解説していきます。
記事の後半では、ご自身の将来の年金額を確認する方法を紹介しますので、老後の計画を立てる参考にしてみてください。
1. 年金生活者支援給付金とは
年金生活者支援給付金は消費税引き上げ分を活用し、公的年金等の収入金額が一定基準以下の年金受給者を支援するために、年金に上乗せして支給されるものです。
年金生活者支援給付金は、受け取る年金種類によって、「老齢年金生活者支援給付金」、「障害年金生活者支援給付金」、「遺族年金生活者支援給付金」に分けられます。それぞれ対象者や給付される金額について解説していきます。
2. 老齢年金生活者支援給付金の「対象者」と「給付金額」
老齢年金生活者支援給付金は、老齢基礎年金の受給者のうち以下の要件を満たす方です。
2.1 老齢年金生活者支援給付金の対象者
- 65歳以上の老齢基礎年金の受給者
- 同一世帯の全員が市町村民税非課税
- 前年の公的年金等の収入金額(※1)とその他の所得との合計額が昭和31年4月2日以後に生まれの方は88万9300円以下、昭和31年4月1日以前に生まれの方は88万7700円以下である。※2
※1 障害年金・遺族年金等の非課税収入は含まれません。
※2 昭和31年4月2日以後に生まれた方で78万9300円を超え88万9300円以下である方、昭和31年4月1日以前に生まれた方で78万7700円を超え88万7700円以下である方には、「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給されます。
2.2 老齢年金生活者支援給付金の給付金額
老齢年金生活者支援給付金の場合、月額5310円を基準に保険料納付済期間等に応じて算出され、下記(1)、(2)の合計額となります。
- (1)保険料納付済期間に基づく額(月額) = 5310円 × 保険料納付済期間 / 被保険者月数480月
- (2)保険料免除期間に基づく額(月額) = 1万1333円× 保険料免除期間 / 被保険者月数480月
例えば、昭和31年4月2日以後生まれの方で、保険料の納付済月数が480カ月、全額免除月数が0カ月の場合の給付額は免除期間がないため、5310円になります。