3. 年金額を増やす方法1.定年後も仕事を続ける
老齢厚生年金の年金額は、厚生年金の加入期間と比例します。
定年後も仕事を続けて厚生年金に加入し続ければ年金額はアップします。厚生年金の加入は最長70歳までです。
次のモデルケースで年金額がいくら増えるかシミュレーションしてみましょう。
- 2003年4月以降に厚生年金に40年加入、65歳時の年金額は老齢基礎年金が80万円、老齢厚生年金が120万円
- 65歳定年後、5年間厚生年金に加入
- 厚生年金加入中の平均標準報酬額は変わらない
65歳で定年退職した場合の年金額は、老齢基礎年金と老齢厚生年金は合わせて200万円です。
定年後5年間働いた場合、老齢基礎年金額は変わりませんが、老齢厚生年金額は次の通りとなります。
- 老齢厚生年金額=120万円×45/40=135万円
老齢厚生年金額は135万円にアップし、受給額は215万円になります。
4. 年金額を増やす方法2.繰下げ受給を利用する
年金の支給開始時期を遅らせる「繰下げ受給」を利用すると、年金額は増えます。
支給開始時期を1か月繰下げると、年金額は0.7%アップします。
繰下げ受給による支給開始時期は、66歳から75歳までの間で1か月単位で選択可能です。
次のモデルケースで年金額がいくら増えるかシミュレーションしてみましょう。
- 65歳時の年金額は老齢基礎年金が80万円、老齢厚生年金が120万円
- 5年間(60か月)繰下げして70歳から受給する
繰下げ受給によって増加する年金額は次の通りです。
- 年金の増加額=200万円×0.7%×60か月=84万円
5年間の繰下げによって年金額は84万円(42%)増加して284万円になります。
5. まとめにかえて
2022年度末の年金額の平均は、厚生年金加入者が14万3973円、国民年金加入者(25年以上加入)が5万6316円です。
厚生年金加入者のうち、男性は平均16万7388円、女性は平均10万9165円と男女で大きな差があります。
将来受け取る年金額を増やすには、定年後も仕事を続けて厚生年金に加入し続けることがおすすめです。
給与収入があれば繰下げ受給してさらに年金額を増やすこともできます。
参考資料
西岡 秀泰