2024年9月20日、厚生労働省は厚生労働省「第18回社会保障審議会年金部会」の資料を公表しました。
その中の一つに「公的年金シミュレーターについて」という資料があり、将来の年金受給見込額を簡単に試算できるツールが紹介されています。
公的年金制度に関する関心内容として「自分が受け取れる年金はどのくらいか」が最も高くなっており、公的年金シミュレーターを利用して、実際に試算を行った回数は2024年9月10日時点で500万回超となっています。
昨今の物価上昇や老後2000万円問題、少子高齢化などの不安なニュースが多い中、ご自身が受け取れる金額は気になりますよね。実は老齢年金にはあまり知られていない意外な盲点があります。
ここでは老齢年金から天引きされるお金について解説します。将来の年金生活をイメージする参考にしていただければと思います。
1. 天引きされるのはどんなお金?老齢年金の《手取り額と支給額》
シニア世代が隔月に受け取る老齢年金からは、税金や社会保険料などが天引きされているため、年金の支給額と実際に受け取る「手取り額」には差が生じます。
老齢年金から天引きされるお金は次の4つです。
- 介護保険料
- 国民健康保険料または後期高齢者医療保険料
- 個人住民税および森林環境税
- 所得税および復興特別所得税
年に一度送られてくる年金振込通知書には「特別徴収(控除)する額」として、上記の項目と額について記載があるので確認してみましょう。
1.1 【老齢年金からの天引き その1】介護保険料
介護保険料は40歳~64歳までは健康保険料に上乗せする形で天引きされていましたが、65歳以降は単体で年金から引かれます。保険料の納付は要介護・要支援認定を受けたあとも一生涯続きます。
1.2 【老齢年金からの天引き その2】国民健康保険料・後期高齢者医療保険料
国民健康保険加入者が支払う国民年金保険料も年金から天引きされます。また、75歳以上になるすべての人は後期高齢者医療制度に移行するため、後期高齢者医療保険料も年金から天引きされます。
後期高齢者医療保険料は個人単位で計算されます。保険料は均等割(被保険者が均等に負担)と所得割(前年所得に応じて負担)の合計になります。
1.3 【老齢年金からの天引き その3】住民税および森林環境税
65歳以上の年金受給者で、年18万円以上の年金を受給している人は、住民税および森林環境税が年金から天引きされます。
森林環境税は2024年度から新たに徴収される税金で、2024年10月から個人住民税と合わせて特別徴収されることになっています。
1.4 【老齢年金からの天引き その4】所得税および復興特別所得税
公的年金は「雑所得」として所得税の課税対象となります。一定金額以上の年金額を受け取っている人は、所得税および復興特別所得税が源泉徴収されます。
これらの税金や社会保険料などは、市区町村からの依頼に基づき、年金から天引き(特別徴収)される仕組みになっています。
特別徴収の対象となるのは65歳以上の年金受給者で、年金額が年18万円以上の方など、年金の種類や受給額に一定の条件があります。
介護保険料が年金から特別徴収されていない、年金受給額が年18万円未満など、いずれかの条件に該当するときは普通徴収となります。