3.1 若い時代の年収が低くても途中からリカバリーは可能?
前章では、年金30万円を目指すための現役時の年収について紹介しました。
上記でお伝えした「年金30万円を目指せる年収1269万円」は、40年間その収入を継続していることが前提であり、途中から年収が1000万円を超えた場合は、年金30万円には届かない可能性があります。
ただし、極端な例として「若い頃は年収が低くても、後に役職に就いて年収が2000万円を超えた」ようなケースでは、40年間の平均年収が1269万円に達する可能性があるかもしれません。
しかし、厚生年金の標準報酬月額と標準賞与額には上限があります。
- 標準報酬月額の上限:65万円
- 標準賞与額の上限:150万円
つまり、これ以上の収入があっても、年金額の計算には反映されないため、一定の上限に達することになります。
上記から、途中で年収を上げるのではなく、初めから年収約1269万円を継続する必要があり、このようなケースは非常に稀だと言えます。
4. まとめにかえて
厚生年金を月額30万円受給している人は、
- 男性:0.11%
- 女性:0.01%
- 男女全体:0.08%
となりました。非常にレアなケースといえるでしょう。
年金を月に30万円も受給できれば、老後の生活にも多少のゆとりが生まれるかもしれません。
しかし現行制度では、月額30万円を受給するには、40年間の平均年収「約1269万円以上」をクリアする必要があります。このラインを目指すのは現実的ではないでしょう。
では、老後の収入を増やすにはどうすれば良いのか。その1つとして今すぐ取り組めるのが「自助努力」です。年金だけで足りない分をカバーするために資産を築いていくのです。
地道に貯金をする、資産運用でお金に働いてもらうなど、手段は様々あります。老後生活を考える際には、まず「ゴールの設定」から始めることをおすすめします。「老後にどれくらいのお金が必要になるのか」を見える化するのです。
ゴールが決まれば、あとは逆算して今できることから始めていきましょう。
参考資料
荻野 樹
執筆者
ファイナンシャルアドバイザー/ファイナンシャルプランナー/宅地建物取引士
AFP(Affiliated Financial Planner)、一種外務員(証券外務員一種)、宅地建物取引士の資格を保有。大阪市立大学経済学部卒業後、教育業界へ。その後、メットライフ生命保険株式会社、株式会社ほけんのぜんぶへ転職。生命保険商品の販売を通じて、主に子育て世代への資産形成や老後資金準備に関するコンサルティングをおこなった。経験や各種資格を活かし、現在は、個人向け資産運用のサポート業務に従事。専門用語を使わず、丁寧で分かりやすいアドバイスが強み。
監修者
株式会社モニクルリサーチ メディア編集本部
元銀行員/一種外務員資格(証券外務員一種)/LIMOマネー編集部金融ライター
一種外務員資格(証券外務員一種)。大学卒業後、株式会社三菱UFJ銀行に入社。三井住友信託銀行に転職後、資産運用アドバイザー業務に約10年間従事。
現役世代からシニア富裕層までの幅広い個人顧客に対し、資産運用コンサルティングを行う。
<主な専門領域>
投資信託、ファンドラップ、外貨預金、生命保険、医療保険、住宅ローン、事業性ローン、贈与、相続、遺言信託、不動産など、多岐にわたる金融サービスと承継対策をワンストップで提案。特に、長期的な資産形成や富裕層向けのウェルスマネジメント、シニア世代への承継・相続の分野で豊富な知識と実績を持ち、表彰歴多数。
現在は、株式会社モニクルリサーチが運営する「くらしとお金の経済メディア「LIMO(リーモ)」のマネー編集部にて企画・執筆・編集・監修を担当。
厚生年金保険と国民年金保険(老齢年金・障害年金・遺族年金)、年金制度の仕組み、社会保障、貯蓄、資産運用を専門とする。
NISA、iDeCo、住宅ローン、カードローンなどの国民生活に直結する金融情報を始め、FX、株式投資、金(ゴールド)などの投資経験をいかし仕組みやリスクなどを分かりやすく解説。Yahoo!ニュース経済カテゴリでアクセスランキング1位を多数達成【2025年10月7日更新】