2024年前半の相場状況は右肩上がりで良い恩恵を受けた方も多かったと思いますが、後半に差し掛かり株や為替など乱高下する状況となっています。
安心して将来の資産準備ができるように、なるべく安定的に上がってほしいですね。
資産運用などで理想の老後を思い描いている方も多いと思いますが、実際に今老後生活を送っている方の状況はどのようなものでしょうか。
本記事では高齢者世帯の生活状況について確認するとともに、年金世帯に対する政府の支援金について解説していきます。
老後生活を考える上での参考にしてみてください。
1. 高齢者世帯の半数以上が「生活が苦しい」。前年度よりも困窮世帯が10.7%も増加
厚生労働省の生活意識の調査によると、高齢者世帯の半数以上が生活が「大変苦しい」もしくは「やや苦しい」と答えています。
1.1 【全世帯】生活意識調査の結果
- 大変苦しい:26.5%(前回20.2%)
- やや苦しい:33.1%(前回31.0%)
- 普通:35.8%(前回42.1%)
- ややゆとりがある:3.9%(前回5.5%)
- 大変ゆとりがある:0.7%(前回1.1%)
1.2 【高齢者世帯】生活意識調査の結果
- 大変苦しい:26.4%(前回18.1%)
- やや苦しい:32.6%(前回30.2%)
- 普通:36.7%(前回45.1%)
- ややゆとりがある:3.9%(前回2.5%)
- 大変ゆとりがある:0.4%(前回0.8%)
前年度に実施された同調査では「大変苦しい」「やや苦しい」と答えた高齢者世帯の合計は48.3%であったことから、10%以上も「生活が苦しい」という世帯が増えていることがわかります。
上記から、昨今の物価高騰により、高齢者の生活がますます厳しくなっていることがうかがえます。
年金や貯蓄で生活している高齢者にとって、生活必需品や医療費の負担が増えることで、日常生活がさらに困窮することが予想されます。
年金という限られた収入で生活を維持するのは容易ではないことからも、物価高による影響が深刻化していると言えるでしょう。
2. 年金生活者への給付金!2019年から始まった「年金生活者支援給付金」とは
年金生活者支援給付金は、老齢年金(国民年金)、障害年金、遺族年金の受給者に対して、一定の要件を満たしていれば支給される給付金です。
要件は老齢年金(国民年金)、障害年金、遺族年金の受給者それぞれで異なるため、順に確認していきましょう。
2.1 老齢年金生活者支援給付金の対象者と給付額
老齢年金生活者支援給付金の要件は下記のとおりです。
- 65歳以上の老齢基礎年金の受給者
- 同一世帯の全員が市町村民税非課税
- 前年の公的年金等の収入金額(※1)とその他の所得との合計額が以下のとおり
〈昭和31年4月2日以後生まれの方〉
老齢年金生活者支援給付金…78万9300円以下
補足的老齢年金生活者支援給付金…78万9300円を超え88万9300円以下
〈昭和31年4月1日以前生まれの方〉
老齢年金生活者支援給付金…78万7700円以下
補足的老齢年金生活者支援給付金…78万7700円を超え88万7700円以下
※1 障害年金・遺族年金等の非課税収入は含まれません。
2024年度の老齢年金生活者支援給付金の給付基準額は「5310円」ですが、あくまでも「基準額」であり、実際は保険料納付済期間と免除期間に基づいて支給額を算出します。
【老齢年金生活者支援給付金の算出方法(1と2の合計額)】
- 1.保険料納付済期間に基づく額(月額)= 5310円 × 保険料納付済期間/被保険者月数480月
- 2.保険料免除期間に基づく額(月額)= 1万1333円 × 保険料免除期間/被保険者月数480月
2.2 障害年金生活者支援給付金の対象者と給付額
障害年金生活者支援給付金の要件は下記のとおりです。
- 障害基礎年金の受給者
- 前年の所得(※1)が「472万1000円+扶養親族の数×38万円(※2)」以下
※1 障害年金等の非課税収入は、年金生活者支援給付金の判定に用いる所得には含まれません。
※2 扶養親族等の数に応じて増額。同一生計配偶者のうち70歳以上の者または老人扶養親族の場合は48万円、特定扶養親族または16歳以上19歳未満の扶養親族の場合は63万円となる。
障害年金生活者支援給付金の給付額は障害等級によって変わります。
- 障害等級2級:月額5310円
- 障害等級1級:月額6638円
2.3 遺族年金生活者支援給付金の対象者と給付額
遺族年金生活者支援給付金の要件は下記のとおりです。
- 遺族基礎年金の受給者
- 前年の所得(※1)が「472万1000円+扶養親族の数×38万円(※2)」以下
※1 遺族年金等の非課税収入は、年金生活者支援給付金の判定に用いる所得には含まれません。
※2 扶養親族等の数に応じて増額。同一生計配偶者のうち70歳以上の者または老人扶養親族の場合は48万円、特定扶養親族または16歳以上19歳未満の扶養親族の場合は63万円となる
給付額は月額5310円ですが、2人以上の子が遺族基礎年金を受給している場合は、5310円を子の数で割った金額がそれぞれに支給されます。
なお、この「年金生活者支援給付金」は申請しないと受け取ることができません。
次章にて申請方法を解説していきます。
3. 「年金生活者支援給付金」を申請する2つの方法
年金生活者支援給付金は「これから年金を受給する人」と「すでに年金を受け取っている人」で申請方法が異なります。
3.1 これから年金を受給する人
これから年金を受給する人は65歳になる3ヵ月前に、老齢基礎年金の請求書と併せて給付金請求書が入った封筒が送られてきます。
同封の給付金請求書に必要事項を記入して、老齢基礎年金の請求書とあわせて提出しましょう。
3.2 すでに年金を受け取っている人
すでに年金を受給している人が所得の減少によって対象になった場合、9月1日以降に「年金生活者支援給付金請求書」が送られてきます。
同封のはがき(給付金請求書)に必要事項を記入して、郵便ポストに投函すれば手続きが完了します。
一度手続きすると毎年手続きする必要はありませんが、要件を満たさなくなり給付が停止になった後に、再度要件を満たした場合は改めて申請が必要になります。
なお、繰上げ受給している場合は、書類の種類が異なりますので注意してください。
ここまで「年金生活者支援金」について解説してきました。
退職後は長いセカンドライフが始まりますが、できれば金銭的な不安を抱えながら生活するのは避けたいものです。
次章では、ファイナンシャルアドバイザーの視点から「老後生活に向けた資産形成」について、アドバイスをお送りしたいと思います。
4. まとめにかえて
高齢者世帯の生活状況を確認すると、多くの世帯が「生活が苦しい」と答えていることが分かりました。
近年の物価上昇などは高齢者世帯にとって大きな負担となっていることが確認できます。
年金生活者支援給付金などの支援制度はあるものの、それだけで生活が豊かになるわけではありません。今後、ゆとりある老後を実現するためには、早めの準備が重要です。
準備方法には主に「保障」と「運用」の2つがあります。保障は、老後までの間で急な出費に対応するための手段として役立ちます。自分に合った保険を選び、備えておくことが大切です。
運用では、NISAやiDeCoなどを活用し、少額からでも資産を積み立てて増やしていく方法があります。長期的に積み立てを続けることで、安定した資産運用が可能になります。
理想の老後生活を目指すためにも、早い段階から準備を始めることを心がけましょう。
参考資料
- 厚生労働省「年金生活者支援給付金制度について」
- 日本年金機構「老齢基礎年金を新規に請求される方の請求手続きの流れ」
- 日本年金機構「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)が届いた方へ」
- 厚生労働省「2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況」
- 厚生労働省「令和4年度「厚生年金保険・国民年金事業の概況 」」
- 総務省統計局「2023年(令和5年) 家計の概要」
川勝 隆登