4. 「健康寿命と資産の寿命」はセットで延ばす!
今回は50歳代世帯の貯蓄額データを眺めた後、老後の年金についてちょっとだけ予習をしました。
シニアの就労を後押しする制度が整いつつあるいま。50歳代のみなさんの中には「現役引退」のタイミングはまだしばらく先の話のように思えるかもしれませんね。でも、その先に待っているリタイア後のセカンドライフは想定外の長さとなる可能性もあります。
現役時代のラストスパートともいえる50歳代。ぜひ将来を見据えた「マネープラン」を見直していけたら良いですね。
ポートフォリオに、預貯金や保険商品、そして資産運用をバランスよく組み込んでいきましょう。資産運用にはリスクが伴いますが、長期分散投資を心掛けることで、リスクの軽減とリターンの安定に繋げていくことも可能です。
日本人はしばしば「投資よりも預貯金を好む」と言わます。しかし、高校家庭科での金融教育のスタートや、NISA制度の拡充などを通じて、資産運用へのハードルが下がってきた感もありますね。
ファイナンシャルアドバイザーの筆者は、お客様から「友人が新NISAを始めたようで、私も興味を持ちました」といった声をよく聞きます。
資産運用は老後資金などのまとまった資金を準備するための、有効な手段の一つと言えるでしょう。NISAやiDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)などの税制優遇制度の活用を検討するのも一案ですね。
最適な資産運用のスタイルは人それぞれ。まずは情報収集からスタートしてみましょう。
5. 【ご参考】年金に関する疑問や不安を解消!よくある質問を解説
日本の公的年金制度は複雑で、多くの人がさまざまな疑問を抱えていることでしょう。ここでは、年金に関するよくある質問を取り上げ、その解答を解説します。
5.1 年金の主な種類と仕組みは?
日本の公的年金は「国民年金」と「厚生年金」の2階建て構造になっています。
国民年金は日本国内に住む20歳以上60歳未満の全ての人が加入する基礎年金で、厚生年金は会社員や公務員が加入するものです。
国民年金は一定の保険料を納付し、将来の年金額が決まるのに対し、厚生年金は収入に応じた保険料を支払うため、将来の受給額にも差が出ます。
5.2 「繰下げ受給」とはどんな制度?
年金の受給開始年齢を遅らせることで、受給額が1カ月につき0.7%増える「繰下げ受給」があります。
例えば、65歳から受給を開始する予定を75歳0カ月まで繰り下げると、84%増額となります。これは、長期間働くことができる人や、他の収入源がある人にとって有利な選択肢となります。
5.3 年金を増やす方法はあるのか?
年金を増やす方法はいくつかあります。自営業やフリーランスの方は、国民年金の付加保険料を支払うことで、将来の受給額を増やせます。
また、厚生年金に加入する働き方に切り替えることも一つの方法です。
さらに、老後資金を増やすという意味では、投資信託やiDeCo(個人型確定拠出年金)などを利用して、自身で資産運用を行うのも選択肢です。ただし、運用にはリスクがあることに注意が必要です。
参考資料
- 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和5年)」
- 日本年金機構「令和6年度「ねんきん定期便」(ハガキ)の見方(50歳以上の方)」
- 厚生労働省「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
堀江 啓介