3. 年収の壁対策の現状
年収の壁問題を受け、政府は「年収の壁・支援強化パッケージ」を進めています。
3.1 106万円の壁の対応
- 手取り収入を減らさない取組を行う企業に対し、労働者一人当たり最大50万円を支給
3.2 130万円の壁への対応
- 収入が一時的に上がっても、事業所の証明により引き続き被扶養者認定が可能となるよう配慮
上記により、手取り収入減というデメリットを緩和するとしています。企業としても、人手不足を解消できるメリットがあるでしょう。
ただし、あくまでも一時的な措置であるため、根本的な解決とはなりません。長期のキャリアプランを考慮したうえで、やはり一人ひとりがしっかり考える必要があるでしょう。
4. まとめにかえて
今回は「最低賃金」について確認していきました。地域ごとの格差など課題は多く残っているのが現状です。
最低賃金はたびたび上がっていますが、物価上昇のペースを考えると最低賃金の上昇率は緩やかです。
昨今はお金に対する不安が高まっています。FPとしてご相談いただく中で「老後生活が不安」という声が一番多いです。
背景には、物価の上昇、少子高齢化による年金問題、人生100年時代など様々な事象があげられます。
これらの問題に対応するためにも、老後資金の準備は急務ではないでしょうか。
老後資金を準備するにあたっては様々な手段があげられます。貯蓄で安定的に増やしていくのが土台になってくると思います。
しかし、物価の上昇を考えると貯蓄だけでは将来的にお金の価値が落ちてしまう可能性があります。
そういった事態を回避するためにも、一部資産運用を取り入れる必要があるのではないでしょうか。
資産運用はリスクが伴いますが自分自身に合った運用を取り入れることができれば安定的に資産を準備することも可能です。
また、お金を貯める行為が「攻め」だとしたら、万が一に備える「守り」の準備も必要です。
病気やけがで働けなくなって毎月の貯金や、運用が継続できないリスクも0ではありません。このようなリスクにも備えておくことで、将来的に老後資金を準備できるのではないでしょうか。
ご自身に合った方法で是非老後資金を準備してみてはいかがでしょうか。
参考資料
- 厚生労働省「最低賃金制度の概要」
- 厚生労働省「年収の壁・支援強化パッケージ」
- 厚生労働省「社会保険適用拡大 特設サイト」
- 厚生労働省「平成14年度から令和6年度までの地域別最低賃金改定状況」
- 厚生労働省「令和6年度中央最低賃金審議会目安に関する小委員会(第5回)資料」
堀江 啓介