現在の日本において年金だけで老後生活を送ることは難しく、物価上昇による支出の増加や年金受給額が少ないことが不安視されています。
実際、直近の調査では「年金だけで老後生活を送ることができる高齢者の割合は41.7%」であることがわかっており、10人に4人しか年金だけで老後生活を送ることができていません。
現役世代の方々から「どうせ年金なんてもらえない」「年金を受け取れたとしても少額でしょう」という声を耳にする筆者ですが、実際の年金受給額はどうでしょうか。
本記事では、年金だけで生活する高齢者世帯の割合や国民年金・厚生年金の年金受給額について解説していきます。
その他にも、元証券会社出身の筆者から老後資金を準備する上でのポイントについてもお伝えしていきます。
1. 意外と少ない…。年金だけで100%生活している高齢者世帯はどのくらいいる?
厚生労働省の「2023年(令和5年)国民生活基礎調査の概況」によると、年金だけで生活している高齢者世帯は全体の41.7%です。
つまり、半数以上の高齢者世帯は、老後の生活において年金以外の収入源や資金が必要であることがうかがえます。
実際に所得の構成割合を見ると、公的年金や恩給は全体の62.9%となっており、稼働所得や貯蓄の切り崩し、仕送りなどで補填している実態がわかります。
なお、前年の調査結果では、年金だけで100%生活する高齢者の割合が44%であったことから、年金だけでは生活が苦しい世帯がこの1年で増えていることがみてとれます。
では、2024年度の年金支給額はいくらになっているのでしょうか。
1.1 2024年度の年金は2.7%の増額。国民年金の満額は「6万8000円」へ
年金は毎年度改定がされており、2024年度の年金は2.7%の増額改定となりました。
とはいえ、年金の増額率が物価上昇率に追いついていないため、実質的には目減りしている状況にあります。
- 国民年金(老齢基礎年金):6万8000円(1人分)
- 厚生年金:23万483円(標準的な夫婦2人分)
国民年金の金額例は「満額で受給できる場合」の年金額であり、保険料の未納期間がある場合は、受給額は満額より少なくなります。
反対に、繰下げ受給や付加保険料などの制度を利用している場合は、上記より金額が高い人もいるでしょう。
一方、厚生年金の金額例は「標準的な夫婦2人分」の年金額を示しています。
「標準的な夫婦」の試算根拠は、平均的な収入(平均標準報酬43万9000円)で40年間就業した場合に受け取り始める老齢厚生年金と、夫婦2人分の満額の国民年金(老齢基礎年金)の給付水準です。
つまり、40年間会社員として平均43万9000円を稼ぎ続けた夫(または妻)と、一度も厚生年金に加入したことのない妻(または夫)を想定しています。
現代では、おひとりさま世帯や共働き世帯が増えているため、すべての世帯がこの「厚生年金額」に当てはまるわけではありません。
次章では、実際に支給されている「国民年金」および「厚生年金」の平均月額について詳しく見ていきます。
2. 国民年金と厚生年金の「平均月額」はいくら?
厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」を参考に、実際にシニアが受給している「国民年金と厚生年金」の平均月額を確認しましょう。
2.1 国民年金の平均月額を確認
- 全体:5万6316円
- 男性:5万8798円
- 女性:5万4426円
国民年金のボリュームゾーンは「6万円~7万円未満」となっており、満額(2024年度は6万8000円)に近い人が多いことがわかります。
3. 厚生年金の平均月額を確認
- 全体:14万3973円
- 男性:16万3875円
- 女性:10万4878円
厚生年金の全体の平均額は「14万3973円」ですが、個人差が生じやすい厚生年金の特徴のひとつです。
実際に、厚生年金額のボリュームゾーンは「9万円~11万円未満」や「17万円~18万円未満」と幅広く分布しており、個人差が大きくなっています。
ご自身の年金見込額がより詳細にしりたい場合は、ねんきん定期便やねんきんネットなどで確認してみてください。
最後に、元証券会社出身の筆者から老後資金を準備する上でのポイントをお伝えいたします。
4. 老後資金を準備する上での2つのポイント
老後資金を準備するにあたって、老後の収入源である「年金額」を把握する必要があります。年金額が十分にある41.7%の中に該当している方は、老後資金を準備しなくても良いかもしれません。
しかし、昨今の物価上昇・光熱費高騰により、年金額が十分にある人も準備せざるを得ない状況になっているのも確かです。
老後資金を準備する上では、2つのポイントを押さえておく必要があります。
1つ目は、目標額を設定することです。目標額を設定することで、それに見合った制度・商品を正しく選ぶことができます。
2つ目は、リスクを一番に考えて準備をすることです。昨今、新NISAやiDeCoなど資産運用を活用して老後資金を準備する方が増えています。
資産運用を始める際に「どれが儲かる商品・制度なのか」という風に考えてしまう方が多いですが、リターンを一番に求めて制度や商品を選択するのではなく、ご自身のリスク許容度を確認しながら制度・商品を選択することがとても大切です。
資産運用は元本保障ではないため、マイナスになった時のことを考えて資産運用を活用していきましょう。




