働き盛り世代のみなさんは「老後の年金」が気になったことはありますか?
20歳代、30歳代といった若い頃は、教育資金や住宅資金などの目前の出費に追われ、遠い老後の話にまで意識が向きにくいかもしれませんね。これが、50歳代を過ぎると多くの方が強い関心を持つようになります。
ファイナンシャルアドバイザーの筆者は日ごろみなさんの資産運用のご相談を受けています。その中でも、50歳代のお客様からは「老後資金」に関するお悩みを多く伺います。
そこでまず知っておきたいのが「公的年金」の基本。また年金見込み額を把握することで、資産づくりのペースやゴール設定にも役に立ちます。
そこで今回は、年金制度の基本を整理したあと、今のシニア世代が受け取る年金額に関するデータを見ていきます。遠い将来を見据えたマネープランを立てる上で、何らかのヒントになればと思います。
1. 「年金制度は2階建て」国民年金&厚生年金の基本
まずは日本の公的年金のしくみを整理しましょう。
1.1 国民年金(1階部分:基礎年金)
国民年金に加入義務があるのは、原則として国内に住む20歳から60歳までのすべての人。被保険者は次の3種類に分類されます。
- 第1号被保険者: 学生や自営業者など、自分で保険料を納付する人
- 第2号被保険者: 会社員や公務員など、国民年金に上乗せして厚生年金に加入している人
- 第3号被保険者: 第2号被保険者に扶養されている配偶者
国民年金保険料は1万6980円、年金保険料を全期間(480カ月)納付した場合に受け取れる国民年金の満額は6万8000円です。※いずれも2024年度の月額
1.2 厚生年金(2階部分)
サラリーマンが加入する厚生年金についても整理しましょう。
会社員や公務員などは、国民年金に上乗せして厚生年金に加入します。厚生年金保険料は、報酬(給与・賞与)に応じて決められ、毎月の給与から天引きでおさめます。
老後に受け取る年金額は、厚生年金加入期間と保険料の納付額によって決められ、国民年金に上乗せして支給されます。よって、国民年金だけを受け取る場合より年金水準は高くなるのが一般的です。
次は、厚生労働省の「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」を元に、国民年金と厚生年金の平均月額についてチェックしていきます。