物価上昇が続いており、「生活が厳しくなった」と感じている世帯が多いのではないでしょうか。
また、詳しくは後述しますが、日本人の健康寿命は平均寿命と比べ、男性は約8年、女性は約12年短くなっています。
年齢を重ねるほど、心身ともに自立し健康的に生活できる期間が短くなる傾向にあるため、老後働き続けることが難しくなる可能性があります。
そのため、老後の安定した生活を確保するためには、今まで貯めてきた預貯金も大切になってくるでしょう。
筆者は個人向け資産運用のサポート業務に従事しており、老後に向けた資産形成についてのご相談を多く受けます。
本記事では、70歳代・二人以上世帯の貯蓄額と年金月額について厚生労働省の調査データを元に確認していきます。
老後のリアルな暮らしぶりを知ることは老後対策としても有効ですので、参考にご覧ください。
1. 【70歳代】二人以上世帯の「平均貯蓄額・中央値」はいくら?
定年後の収入は減少する傾向にあります。収入を確保するために、老後も働き続けようと考える人もいるでしょう。
しかし、年齢と共に健康寿命の影響もうけやすくなるため、いつまで働けるという保証はありません。
公益財団法人生命保険文化センターによると、日本人の健康寿命は平均寿命と比べ、男性は8.73歳、女性は12.06歳短くなっています。
健康寿命とは「心身ともに自立し健康的に生活できる期間」のことです。
厚生労働省の「令和3年12月20日資料3-1第16回健康日本21(第二次)推進専門委員会」によると、2019年時点での日本人の健康寿命は、男性72.68歳、女性75.38歳となっています。
上記の折れ線グラフをご覧いただくとわかるとおり、日本人の健康寿命は年々少しずつ延びていますが、平均寿命よりも健康寿命の方が短くなっていることには変わりありません。
老後の生活のためにできるだけ長く働き続けたいと思っていても、年齢とともに収入を得ることが難しくなる方もいるでしょう。
そのため、老後の大切な収入源の1つとして「公的年金」があります。
しかし、なかには公的年金だけで生活するのが厳しく、これまで貯めてきた貯蓄を生活費にあてる方もいるのではないでしょうか。
ここからは、金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和5年)」をもとに70歳代・二人以上世帯の平均貯蓄額についてわかりやすく解説していきます。
※「金融資産を保有していない世帯」を含めたデータです。
※上記、金融資産には預貯金以外の株式や投資信託、債券などの金融商品残高が含まれます。