日本の高齢化社会において、年金で生活をしている低所得世帯に対する支援は政府にとって重要な課題と言えます。
総務省統計局による2024年8月1日時点の推定データによると、65歳以上の人口は日本人口全体のおよそ29.2%という結果が出されており、人口の30%ほどを占める高齢者世帯の生活を支えることは、日本全体としてもとても重要であると言えるためです。
人口推計

出所:総務省統計局「人口推計(2024年(令和6年)3月確定値、2024年(令和6年)8月概算値) (2024年8月20日公表)」
所得が少ないために生活の厳しい年金生活者や住民税非課税世帯を対象としたさまざまな施策が政府により実施されています。
今回はその支援策の一部である「2024年度の住民税非課税世帯等への10万円給付金」と「年金生活者支援給付金」について詳しく解説します。該当の世帯の方は、ぜひ参考にしてください。
1. 住民税非課税世帯等への10万円給付金
まずは、2024年に実施されている住民税非課税世帯への10万円給付について説明していきます。
1.1 制度の背景と目的
住民税非課税世帯を対象とした給付金は、2023年11月に政府から発表された「デフレ完全脱却のための総合経済対策」の施策の1つです。
「物価高に最も切実に苦しんでいる低所得世帯」に対する生活の支援が必要であるとして、2024年度に「新たに」住民税非課税世帯となった世帯に向けて政策が実施されています。
政府の政策による給付ですが、実施主体は各自治体であるため、申請を行う先はお住まいの市区町村となります。
2. 住民税非課税世帯等への10万円給付金の対象
この給付金は、「住民税非課税世帯」であることが条件ですが、その中に2023年度の給付金を受け取った人は含まれません。
2024年度に新たに非課税世帯となった世帯にのみ支給がされます。2023年度には、2024年度と同様に非課税世帯への10万円給付が行われており、その給付の対象となった世帯は2024年度の給付では対象外になるということです。
昨年は非課税でなく、今年から非課税となった世帯が「物価高に最も切実に苦しんでいる」という世帯として、今回の給付を受ける対象となっています。
※2023年度の給付の際に辞退や未申請で受け取っていない場合でも、2024年度の給付対象外となります。
2.1 辞退とみなされる条件
この給付は、対象となっても辞退とみなされて給付を受けられない場合があります。以下が、辞退とみなされ給付を受けられないケースなので、給付を受けようとしている方は注意してください。
- 給付金を受け取らない旨を表明した場合
- 申請期限までに手続きを行わない場合
- 書類に不備がありその不備が解消されない場合
給付金の案内が届いても、自動的に給付がされるわけではありません。必ず書類の内容を確認して、必要事項や必要書類を期限内に漏れなく申請しましょう。
2.2 手続きと注意点
給付金を受け取るには、自治体からの案内に従って必要な手続きを行う必要があります。多くの場合、住民票のある市町村から案内が送付され、所定の申請用紙に必要事項を記載してを提出することにより申請ができます。
オンラインでも申請が可能であるかどうかや、申請期限などの詳細は、自治体によって異なります。給付の申請をする場合には、必ずお住まいの自治体の申請方法や期限を確認するようにしてください。
次に、所得が一定以下であるなどの条件を満たした年金生活者への給付である年金生活者支援給付金について説明をしていきます。
3. 年金生活者支援給付金の概要
年金生活者支援給付金は、政府が消費税率引き上げ分を活用して、公的年金等の収入金額やその他の所得が一定基準額以下の年金生活者に対して、生活の支援を図ることを目的として2019年に開始された給付金です。
老齢基礎年金・障害基礎年金・遺族基礎年金のいずれかを受け取っている人が一定の要件を満たす場合に、年金に上乗せして支給されます。
年金受給額が少ない方々の生活を支えるために設けられた制度です。
この給付金は、基礎となる年金が「老齢」「障害」「遺族」のいずれであるかによって「老齢年金生活者支援給付金」「障害年金生活者支援給付金」「遺族年金生活者支援給付金」の3種類の給付が存在します。
給付の種類により、支給となる条件も支給金額も異なるので、一つずつ見ていきましょう。
3.1 老齢年金生活者支援給付金
老齢基礎年金を受給している人のうち、一定の条件を満たすことで受給できる給付です。
【給付条件】
- 65歳以上の老齢基礎年金受給者である
- 同一世帯の全員が住民税非課税である
- 前年の収入合計が一定の上限(87万8900円)以下である(障害年金・遺族年金等の非課税収入は含まず)※前年の年金収入金額とその他の所得の合計が77万8900円以下の場合、(1)老齢年金生活者支援給付金が支給され、77万8900円を超え87万8900円以下の場合には、(2)補足的老齢年金生活者支援給付金が支給されます。
【給付金額】
月額5310円を基準として、国民年金の保険料納付済み期間や免除期間に応じて算出された金額
上記のような基準額はあるものの、実際に支給される金額については個人差がある点に留意してください。
3.2 障害年金生活者支援給付金
障害基礎年金を受給している人のうち、一定の条件を満たすことで受給できる給付です。
【給付条件】
- 障害基礎年金の受給者である
- 前年の所得が一定の上限以下である※所得の上限は扶養人数によって異なり、扶養がない場合は472万1000円
【給付金額】
- 障害等級が2級の場合:月額5310円
- 障害等級が1級の場合:月額6638円
3.3 遺族年金生活者支援給付金
遺族基礎年金を受給している人のうち、一定の条件を満たすことで受給できる給付です。
【給付条件】
- 遺族基礎年金の受給者である
- 前年の所得が一定の上限以下である※所得の上限は扶養人数によって異なり、扶養がない場合は472万1000円
【給付金額】
月額5310円
※遺族基礎年金を2人以上の子で受給している場合には、子の人数で5310円を割った金額
3.4 申請方法
年金生活者支援給付金を受けるためには、年金事務所への申請が必要です。申請に必要な書類や手続きについては、日本年金機構のホームページに記載されているほか、厚生労働省では給付金に関する専用の問い合わせ窓口も設置されています。
不明な点がある場合は、問い合わせて確認をするようにしましょう。
4. まとめにかえて
今回は「住民税非課税世帯等への10万円給付金」と「年金生活者支援給付金」について説明をしました。
これらの制度は、物価高などにより経済的に困難な状況にある高齢者世帯などを含む低所得世帯の生活費を支援することを目的としています。
給付を受けるためには、該当する条件を満たした上で、不足なく期限までに手続きを行うことが必要です。また、政策の変更や更新により条件が変わることもあるため、常に最新の情報を把握することも大切になります。
生活の助けとなるような給付について、漏れなく申請ができるよう、新しい情報を確認していくようにしましょう。
参考資料
- 世田谷区「令和6年度世田谷区住民税非課税等世帯への価格高騰重点支援給付金及びこども加算について」
- 厚生労働省「「年金生活者支援給付金制度」について」
- 厚生労働省「「年金生活者支援給付金制度」について 給付金の支給要件と給付額の計算方法」
- 内閣官房「対象となりうる措置の判定」
- 日本年金機構「老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金の概要」
- 総務省統計局「人口推計(2024年(令和6年)3月確定値、2024年(令和6年)8月概算値) (2024年8月20日公表)」
斎藤 彩菜