9月の給与明細を見て「社会保険料が上がった」という人もいるかもしれません。

会社員が加入している社会保険料は、毎年9月に見直しがされるため、人によっては社会保険料が「上がった」もしくは「下がった」というケースもあります。

では、9月から社会保険料が上がる人として、どのような特徴があるのでしょうか。

本記事では、「9月から社会保険料が上がる人の特徴」について詳しく紹介していきます。

「社会保険料の仕組み」や「社会保険料のシミュレーション」などについても紹介しているので、あわせて参考にしてください。

1. 9月は社会保険料の見直し月!社会保険料ってどう決まる?

冒頭でもお伝えしたように、毎年9月は社会保険料が変更となる時期です。

そもそも「社会保険料」とは、社会保険制度を維持する目的に納付されているお金を指し、会社員の場合は主に下記の保険料が給与から天引きされています。

  • 健康保険料
  • 介護保険料(被保険者が40歳以上の場合に健康保険に含める形で徴収)
  • 厚生年金保険料
  • 雇用保険料

上記のうち、健康保険料・介護保険料・厚生年金保険料は、「標準報酬月額」をもとに計算されています。

「標準報酬月額」とは、給与や残業代、諸手当などの1ヵ月分の報酬を一定の幅で区分したものであり、各区分は等級と呼ばれます。

この標準報酬月額は、4月〜6月の給与額の平均をもとに毎年7月に決定され、9月の給与から、新たな社会保険料が適用されるのです。

では、今年の9月から社会保険料が増える人は、どのような人なのでしょうか。

次章にて確認していきましょう。

2. 9月から社会保険料が上がる人はどんな人?

9月から社会保険料が上がる人の主な特徴として「給与が上がった人」と「3月〜5月の残業代が多かった人」が挙げられます。

社会保険料は給与に比例して増加するため、昨年より給与が上がった人は社会保険料も上がる傾向にあります。

また、社会保険料を算出する際のベースとなる「4月〜6月の標準報酬月額」には残業代も含まれるため、この時期に残業代が多かった人は例年より社会保険料が上がっている可能性があります。

なお、多くの企業では残業代を残業した月の翌月に支払うため、「標準報酬月額」に関与する残業代の対象月は「3月〜5月」となることが多いです。

その他、役職手当の増加や引っ越しに伴う通勤手当の増加など、各種手当が増えた場合も社会保険料が上がる要因となるでしょう。

では、給与や残業代が増えたことで、標準報酬月額が5万円上がった場合、どのくらい社会保険料が変わるのでしょうか。

次章にて、社会保険である「厚生年金保険料」と「健康保険料」のシミュレーションをしていきましょう。

3. 標準報酬月額が5万円上がったら「社会保険料」はいくらになる?

「厚生年金保険料」と「健康保険料」はそれぞれ保険料率が異なっており、会社と折半する形で納付します。

令和6年度の厚生年金の保険料率は18.300%、折半負担額は9.150%となっています。

健康保険の保険料率は、加入している健康保険によって異なります。

参考までに、全国健康保険協会(協会けんぽ)に加入している東京都在住の40歳未満の場合、保険料率は全額で9.98%、折半負担額は4.99%です。

3.1 「標準報酬月額20万円」と「標準報酬月額25万円」の人の保険料

上記の保険料率を参考に試算すると、「標準報酬月額20万円」と「標準報酬月額25万円」の厚生年金保険料と健康保険料の負担額は以下の結果となりました。

社会保険料一覧3/3

社会保険料一覧

出所:全国健康保険協会「令和6年度保険料額表(令和6年3月分から)」を参考に筆者作成

【標準報酬月額20万円(40歳未満)】

  • 厚生年金保険料:1万8300円
  • 健康保険料:9980円
  • 合計:2万8280円

【標準報酬月額25万円(40歳未満)】

  • 厚生年金保険料:2万3790円
  • 健康保険料:1万2974円
  • 合計:3万6764円

標準報酬月額が20万円から25万円に5万円増加すると、社会保険料は8000円以上増え、年間で約10万円の負担増となります。

そのため、「収入は増えたのに手取り額はあまり変わらない」と感じる人も多いでしょう。

4. 社会保険料が上がるのはデメリットだけではない

社会保険料の負担額を見て、「給与が高くなるほど不利だ」と感じる方もいるかもしれません。

しかし、一概に「収入が高いほど損」とは言えません。

たとえば、老後に会社員が受け取る「厚生年金」の年金額は、現役時の収入が大きく関与しているため、収入が高いほど将来受け取れる年金も増加します。

また、病気やケガなどを理由に会社を休む場合、一定の条件を満たせば「傷病手当金」が受け取れます。

傷病手当金の支給額は一律ではなく、「標準報酬月額」をベースに算出されるため、収入が高いほど支給額も高くなります。

このように、会社員が加入している社会保険料は、いざという時のセーフティーネットになり得るものが多いため、一概に損をしているとは言えないでしょう。

上記をふまえ、社会保険料の増加を単なる損失とみなすのではなく、長期的な視点で評価することが重要です。

5. デメリットだけでなくメリットにも目を向けよう

本記事では、「9月から社会保険料が上がる人の特徴」について詳しく紹介していきました。

給与が上がったり、3〜5月の残業が多かったりした人は、9月から社会保険料が上がる可能性があります。

一見、「手取り額が減ってしまうから損」と感じてしまいますが、社会保険料が増えることで年金や休業時などの保障が手厚くなります。

社会保険料が変更される9月を機に、ご自身が納付している社会保険の保障内容を見直してみてはいかがでしょうか。

参考資料