2024年8月6日、総務省は「家計調査報告(家計収支編)2024年(令和6年)6月分及び4~6月期平均」を発表しました。
勤労者世帯(二人以上世帯)の可処分所得は56万8191円、消費支出は31万2568円。平均値でみると、収入と支出のバランスがとれていることが分かります。
仮に、収入より支出が上回っていたとしても、現役世代であれば転職や副業等で収入アップを目指すことも可能です。
しかし、65歳以上「老後」となると話は変わります。
主な収入源は公的年金となるのが一般的です。働いてお金を稼ぐにしても、雇用先が限られてきます。
少子高齢化の影響で将来的に65歳以上の雇用先が増えていく可能性もあるでしょう。ただし、健康・体力の問題でいつまでも働き続けられるとは限りません。
こうした状況を踏まえて、現役世代は自らが老後を迎える時に生活に困らないよう対策をしていく必要があります。
本記事では、シニア世代の平均貯蓄額・生活費の内訳・年金月額を見ていきます。
リアルな数字で現状を確認しながら、自身がどのような対策をしていけば良いか考えていきましょう。
1. 《65歳以上》無職夫婦世帯の平均貯蓄額は2504万円
総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2023年(令和5年)平均結果-(二人以上の世帯)」によると、65歳以上・無職夫婦世帯の2023年時点の平均貯蓄額は2504万円でした。
なお、2018年から2023年までの平均貯蓄額の推移は以下の通りです。
1.1 2018年から2023年までの平均貯蓄額の推移
- 2018年:2233万円
- 2019年:2218万円
- 2020年:2292万円
- 2021年:2342万円
- 2022年:2359万円
- 2023年:2504万円
2020年以降、平均貯蓄額が上昇していることが分かります。
2022年から2023年にかけては、平均貯蓄額が145万円もアップ。物価上昇が続く中、支出が増え貯蓄が難しい世帯が増えていると推測できますが、こうした状況下でなぜ平均貯蓄額は増えているのでしょうか。
2023年の平均貯蓄額2504万円の内訳を見ながら、その要因を考えてみます。
1.2 保有資産の内訳(2023年)
合計:2504万円
- 有価証券:480万円(前年17.0%→19.2%)
- 生命保険など:413万円(前年16.5%→16.5%)
- 定期性預貯金:846万円(前年36.7%→33.8%)
- 通貨性預貯金:754万円(前年29.6%→30.1%)
- 金融機関外:11万円(前年0.2%→0.4%)
上記、有価証券に注目してみてください。
2022年は保有資産全体に対する有価証券の割合は17.0%でした。しかし2023年には19.2%と2.2ポイントも増えています。一方、元本保証の預貯金は2022年時点で66.3%。2023年は64.2%と2.1ポイント減っています。2022年から2023年にかけて、預貯金の割合が減り、投資資産の割合が増えていることが分かりました。
その要因の1つとして「貯蓄から投資へ」の意識が高まっていると考えて良いでしょう。また、もともと保有していた投資商品の資産価値が増えたことにより保有資産全体に占める有価証券の割合が高くなったとも考えられます。
資産形成において、リスクを伴う運用資産が重要な役割を担っていることが分かりますね。
さて、ここまで無職世帯の貯蓄額をご紹介しましたが、次章では「65歳以上無職」の夫婦の1ヵ月の生活費についてみていきましょう。