4. 在職老齢年金が見直される予定
現行制度において、老齢厚生年金(報酬比例部分)の月額と総報酬月額相当額(その月の標準報酬月額と以前1年間の標準賞与額の合計を12で除したもの)が50万円を超える場合、年金支給の一部が停止される「在職老齢年金」があります。
在職老齢年金は、高齢の方の就労意欲を阻害する要因として、かねてより問題視されていました。
人口減少社会に突入している日本にとって、65歳以上でも元気で働ける方の就労意欲を阻害するのは社会的にも損失です。
そこで、2024(令和6)年に行われた財政検証において、在職老齢年金の仕組みを見直す案について議論されました。
正式決定ではないものの、今後は支給停止基準の引き上げや、在職老齢年金制度そのものの撤廃が行われる可能性があります。
「可能な限り長く働きたい」と考えている方は、在職老齢年金の今後の展開にも注目してみてください。
5. まとめにかえて
統計上は、高齢になるほど厚生年金の受給額が増えます。
長く働く高齢の方が増えたこと、繰下げ受給による増額効果も少なからず影響していると考えられるでしょう。
また、今後は在職老齢年金制度にもメスが入れられるかもしれません。
65歳以上も働く意欲を持っている方は、在職老齢年金に関する最新情報にもアンテナを張っておきましょう。
参考資料
- 厚生労働省「令和4年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 日本年金機構「働きながら年金を受給する方へ」
- 日本年金機構「令和6年4月分からの年金額等について」
- 日本年金機構「年金の繰上げ受給」
- 日本年金機構「年金の繰下げ受給」
- 日本年金機構「在職老齢年金の計算方法」
- 厚生労働省「令和6(2024)年財政検証結果の概要」
柴田 充輝