物価の高騰が続く中、「老後2000万円問題」など様々な課題があり、多くの高齢者世帯が生活の困窮に直面しています。

わずかな年金収入でやりくりをしなければいけない高齢者にとって、毎日の食事や光熱費等の支払いは大きな負担です。そんな高齢者の現状の生活を調査した公的資料では、なんと約59%の世帯が生活苦であることがわかっています。

要件を満たす低年金世帯に対しては、「年金生活者支援給付金」が支給されるものの、給付金だけで不安の解消とはならないでしょう。根本的な原因の解決にはなりません。

では、このような状況下で安心した老後生活を送るためには一体どんな備えが必要となるのでしょうか。

本記事では、現状の高齢者の生活を確認していきながら将来訪れる老後に向けて何をしていくべきなのか紐解いていきます。

1. 高齢者世帯の約59%が「生活が苦しい」と回答

厚生労働省「2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況」によると、高齢者世帯の約59%が生活が「大変苦しい」もしくは「やや苦しい」と答えていることがわかりました。

【写真1枚目/全4枚】生活が「大変苦しい」もしくは「やや苦しい」と答えた割合/次ページ以降では給付金情報も掲載

「大変苦しい」もしくは「やや苦しい」と答えた割合グラフ

出所:厚生労働省「2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況」

1.1 全世帯の結果

  • 大変苦しい:26.5%(前回20.2%)
  • やや苦しい:33.1%(前回31.0%)
  • 普通:35.8%(前回42.1%)
  • ややゆとりがある:3.9%(前回5.5%)
  • 大変ゆとりがある:0.7%(前回1.1%)

1.2 うち高齢者世帯の結果

  • 大変苦しい:26.4%(前回18.1%)
  • やや苦しい:32.6%(前回30.2%)
  • 普通:36.7%(前回45.1%)
  • ややゆとりがある:3.9%(前回2.5%)
  • 大変ゆとりがある:0.4%(前回0.8%)

2022年時点での調査では「大変苦しい」「やや苦しい」の合計は48%だったので、1年でおよそ10%増えていることがわかります。

コロナ禍が終息に向かったものの、継続的な物価の高騰により、高齢者の生活がますます厳しくなっていると考えられます。

年金という限られた収入の中で、生活を維持するのは簡単ではありません。では、平均的な年金額はいくらぐらいなのでしょうか。