2. 老齢基礎年金の満額と満額受給の要件

2024年度の老齢基礎年金の満額は81万6000円です。

年金受給額は毎月物価や賃金の変動に合わせて改定されています。2024年度時点では81万6000円ですが、2023年度は79万5000円でした。現役世代の人が将来年金を受け取るときには、金額がいくらか変動している可能性があるでしょう。なお、老齢基礎年金は満額以上の金額は受け取れません。

また、満額受給するためには、国民年金に40年加入し、保険料を480月分納める必要があります。

老齢基礎年金の受給額は、以下の計算式で求めます。

  • 老齢基礎年金の受給額=その年の基礎年金満額×(保険料納付済月数+全額免除月数×4/8+4分の1免除月数×5/8+半額納付月数×6/8+4分の3納付月数×7/8)÷40年×12月

分母は保険料額やその年の満額受給額にかかわらず、480月です。よって、満額受給するには国民年金に40年加入し、保険料納付済月数が480月納めるしかありません。

加入年数が36年のように40年に満たない場合や、保険料納付期間が460ヶ月のように480月に満たない場合は、上記の式に基づき満額からいくらかが減額されます。

2.1 国民年金を満額納めていない場合はどうする?

では、もし国民年金の加入年数が40年に満たなかったり、保険料を480月納められなかった場合は、任意加入制度を活用して満額受給を目指しましょう。

任意加入制度は、特定の条件に当てはまる場合、60歳以降も国民年金に加入して保険料を納めて、受給額を満額に近づけられる制度です。任意加入できる条件は、以下のとおりです。

国民年金に任意加入できる条件

国民年金に任意加入できる条件

出所:日本年金機構「任意加入制度」をもとに筆者作成

〈任意加入制度の加入条件〉

以下の条件をすべて満たす人が加入できます。

  • 日本国内に住所を有する60歳以上65歳未満の人
    ※日本国籍を有しない人で、在留資格が「特定活動(医療滞在または医療滞在者の付添人)」や「特定活動(観光・保養等を目的とする長期滞在または長期滞在者の同行配偶者)」で滞在する人を除く
  • 老齢基礎年金の繰上げ支給を受けていないの人
  • 20歳以上60歳未満までの保険料の納付月数が480月(40年)未満の人
  • 厚生年金保険、共済組合等に加入していない人

加えて、以下に当てはまる人も加入できます。

  • 年金の受給資格期間を満たしていない65歳以上70歳未満の人
  • 外国に居住する日本人で、20歳以上65歳未満の人

任意加入すれば、60歳時点で加入年数が480月に満たなかったり、保険料を480月分納めていなかったりしても、年金受給額を満額に近づけられます。保険料を納められる余裕がある人は、任意加入して年金額を増やしましょう。