4. 公的年金受給額の最高額はいくらか
公的年金受給額の最高額として、厚生年金の報酬比例部分と国民年金額の合算額を紹介します。前述のとおり、2024年度の国民年金の満額は年額81万6000円、月額6万8000円です。では、厚生年金の最高受給額を計算してみましょう。
厚生年金を満額受給できる要件は、以下のすべてを満たした場合でした。
- 標準報酬月額が65万円
- 標準賞与額が150万円かつ3回支給
- 16〜70歳までの648ヶ月厚生年金保険に加入
標準報酬月額が65万円になるのは、月給63万5000円からです。これをもとに年収を算出してみると、年収は1212万円となり、平均標準報酬額は102万5000円となります。よって、2003年4月以降に厚生年金保険に加入したと仮定すると、以下のとおり年金額が計算できます。
- 102万5000円×5.481/1000×648=364万480円
364万480円÷12=30万3373円
よって、老齢厚生年金の満額は月あたり約30万3000円です。国民年金と合算すると、月あたり約37万円が最高額となります。
上記の金額には、上乗せされる年金がいくつかあります。
- 経過的加算:男性は1961年4月1日、女性は1966年4月1日以前に生まれた人に対して支給される特別支給の老齢厚生年金の定額部分から老齢基礎年金の一定額を差し引いたもの。
- 加給年金:自身が65歳になったときに生計を共にしている配偶者や子どもがいる場合に支給される年金
- 企業年金:公的年金の3階部分にあたる、企業と自身で折半して保険料を納めることで受け取れる年金
上乗せされる年金があれば、月約40万円の年金を受け取ることも可能です。
ただし、実際には16〜70歳まで働くことや入社後毎年63万円以上の給与を受け取ることは難しいです。理論上は可能でも、現実的には月約37万円の年金を受け取れる可能性は低いといえるでしょう。
5. まとめにかえて
年金支給額は、理論上約37万円が最高額となりました。とはいえ、実際に37万円を受け取れる人は限りなく少ないでしょう。あくまでも上乗せされる年金や個人で年金を用意しない限りは、達成できないと考えておいたほうがよさそうです。
しかし、受給額にかかわらず年金保険料は適切に納める必要があります。特に国民年金は正しく納めていれば満額受給が可能なため、忘れずに納めるようにしましょう。
参考資料
- 日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
- 日本年金機構「令和6年4月分からの年金額等について」
- 日本年金機構「老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額」
- 日本年金機構「任意加入制度」
- 日本年金機構「は行 報酬比例部分」
- 全国健康保険協会「令和6年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表」
- 日本年金機構「厚生年金保険の保険料」
石上 ユウキ