「お金」のことは仲の良い友人や知人にも聞きにくいというのは皆さんお感じのことともいます。今回は日本証券業協会の個人投資家に対する意識調査をもとに「証券の購入目的」についてみていきましょう。若い世代も意外に保守的に証券投資をしていることが分かります。

日本の個人投資家はどのような人たちなのか

日本証券業協会が2018年1月に発表をした「個人投資家の証券投資に関する意識調査報告」では、株式や投資信託といった有価証券投資をしている投資家の特徴について知ることができます。同調査は、全国の個人投資家(20歳以上)の合計5073人にアンケートを実施しています。株式、投資信託、公社債のいずれか、もしくは複数保有している層である既に投資家である人たちに行った調査です。

同調査で特に興味深いのは世代別の調査結果ではないでしょうか。20~30代、40代、50代、60~64歳、65~69歳、70歳以上と世代別、また年齢別に調査結果を開示しています。「お金」の悩みや疑問はもちろん人それぞれです。職業や年収、家族構成、親の資産保有状況等によって異なってくるでしょうが、同世代が「お金」のことについてどのように考えているのかは皆さんが興味のある点ではないでしょうか。

20-30代の個人投資家の証券投資の目的とは

20代、30代といえば働き盛りで、貯蓄というよりも目の前の仕事に一生懸命に取り組み、年収を上げることに必死になっているとお考えの人も多いのではないでしょうか。その一方で、今回の調査結果では、若年層の個人投資家は意外に保守的に運用していることが見て取れます。どのくらいの割合の人がそれぞれの目的で証券投資をしているのかについてみていきましょう。尚、同調査においては証券保有者に対して、複数回答可としています。

  • 配当金、分配金、利子を得るため:52.9%
  • 老後の生活資金のため:41.4%
  • 使い道は決めていないが、長期の資産運用のため:43.5%
  • 株主優待を得るため:40.3%
  • 子供や孫の将来のため:13.7%
  • 短期的に儲けるため:14.9%
  • その企業を応援するため:6.6%
  • 証券投資を通じて経済の勉強をするため:10.5%
  • 耐久消費財(自動車、家電など)の購入やレジャーのため:8.5%

20-30代の証券投資に対しての姿勢

このようにしてみると、20-30代といえども、一言でいえば「長期」を見据えてじっくり資産形成に取り組んでいる比率が高いといえるのではないでしょうか。若い世代はリスクをとりやすいといいます。そのため短期志向の利益目的や「投機」の比率が高いように思われますが、同世代でいえば、そうした目的の個人投資家は約15%。もちろんそれ以外の年齢層と比較するとその比率はもっとも高い水準なのですが、それ以外の年齢層にも一定の比率は短期志向の個人投資家はいます。

20-30代で老後のことを考えている比率が4割を超える点については、同調査が個人投資家として既にデビューしてる層を調査していることが大きいように見えますが、若いといってもしっかりと将来を考えている個人投資家もいるといえるのではないでしょうか。

青山 諭志