2024年9月15日、敬老の日に公表された総務省の統計によると、日本において65歳以上が総人口に占める割合は29.3%となりました。
また、秋田県や茨城県、山梨県など、65歳以上の割合が3割を超える都道府県は少なくありません。
こうした中で、高齢者の医療費の負担額引き上げや年金受給開始年齢の引き上げが議論されている一方、多くのメディアにおいて高齢者の貧困問題が取り上げられています。
本記事では、高齢者の平均年金受給額や貯蓄額、月々の生活費の目安など高齢者の経済事情を探っていきましょう。
1. 「年金だけでは生活できない」と言われているが、実際の年金事情とは?
まずは、国民年金と厚生年金の仕組みをおさらいしておきましょう。
日本では国民皆年金の制度があるため、日本に住む20歳以上60歳未満のすべての人が原則として「国民年金」に加入する義務があります。
会社員や公務員などは国民年金に加えて、「厚生年金」にも加入しています。
このことから、公的年金制度は国民年金と厚生年金の「2階建て」と言われています。
厚生労働省年金局による「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」では、厚生年金の平均月額は14万3973円(国民年金を含む)、国民年金の平均月額は5万6316円となっています。
つまり、会社員や公務員などとして働いていた人の平均年金月額は約14万円、フリーターやフリーランス、自営業などとして生計を立てていた人の平均年金月額は約5万円ということです。
ただし、平均はあくまでも平均であり、現役時代の年収や勤務期間などによって差があります。
高齢者1人であれば、「約14万円の年金があれば、問題なく生活できる」と考える方がいるかもしれません。
しかし、5万円台の年金だけで生活するには節約やさまざまな工夫が必要になると思います。
次の章では、65歳以上の貯蓄事情について解説していきます。