新NISAによって投資がより身近なものになりましたが、全資産を投資に回すと大きなリスクに繋がります。

そのため、投資を始める前にまずは自身の資産配分を考え、余剰資金を超える投資はしないことが大切です。

日本では、2014年1月より少額投資非課税制度「NISA(ニーサ)」が、その後の2024年からは制度の一部が改善された新NISAが開始され、新NISAではこれまでの投資枠が大幅に拡大されました。

【写真3枚】1枚目/より使いやすくなったNISA、2枚目/新NISAは年間投資枠が大幅UP1/3

より使いやすくなったNISA

出所:金融庁「NISAを知る」

しかし、投資枠が拡大されたからと言って全資産を新NISAを利用した投資信託や株式に投資すると、場合によっては大きなリスクに繋がることもあります。

そこで今回は、全資産を投資信託や株式に投資してはいけない理由について、詳しく解説していきます。

1. 新NISAの投資枠

2024年から始まったばかりの新NISAでは、非課税保有期間の無期限化や、つみたて投資枠と成長投資枠の併用が可能となったこと、非課税保有限度額(総枠)が新設されたことなど、さまざまな改正が施されました。

その中でも特に話題となったのが、年間投資枠がこれまでと比較して大幅に拡大されたことです。

1.1 年間投資枠の大幅な拡大

NISAは年間投資枠が大幅UP2/3

NISAは年間投資枠が大幅UP

出所:金融庁「NISAを知る」

2023年までのNISAは、つみたてNISAもしくは一般NISAのどちらかの口座のみを開設する選択制で、つみたてNISAの投資枠は年間40万円、一般NISAは年間120万円と定められていました。

一方、新NISAでは、つみたて投資枠がつみたてNISAの3倍の年間120万円、成長投資枠が一般NISAの2倍の年間240万円に拡大。その併用によって合計で年間360万円まで枠が拡大されることとなりました。

また、前述した通り、生涯を通じての非課税保有限度額が新たに設けられ、生涯通算で1800万円まで非課税で投資ができるように。これまでのNISAよりもさらに多くの資金を非課税で運用することが可能となりました。

さらに、非課税期間が無期限になる、資産を売却すると翌年以降に非課税投資枠が再利用できるなど、柔軟な資産運用をサポートする内容へと改正されました。

2. 全資産を投資信託や株式に投資してはいけない理由

新NISAでの投資枠が増えたことによって、より多くの資金を投資に回したいと考える方も少なくないでしょう。

しかし、もし全資産を投資信託や株式に投資してしまった場合、大きなリスクに見舞われる可能性が大いにあります。

2.1 元本保証がない

そもそも投資には元本保証がないため、全資産を投資に回し、仮に損失を被ってしまった場合、生活に大きく影響が出る可能性があります。

また、自身が投資している商品の価格が下落している際に、急に何らかの資金が必要となった場合、損失を抱えている資産を売却し、お金を工面しなければならなくなるといった可能性もゼロではありません。

元々は資産運用のつもりで始めた投資に反対に首を絞められることとなり、元に戻すことすらも難しくなってしまいます。

金融商品ごとの安全性・収益性・流動性3/3

金融商品ごとの安全性・収益性・流動性

出所:金融庁「資産形成の基本」

実際、株式や投資信託は収益性という面ではほかの預貯金や債券などよりも優れているものの、安全性では低いことが金融庁の資料からわかります。

そのため、全資産を投資して身動きが取れないといった事態に陥らないためにも、投資をする前に必要なお金を計算し、しっかりと資産配分を考えた上で、余剰資金で行うことが大切です。

2.2 リスク分散ができない

全資産を投資信託や株式に投資した場合、資産のバランスが崩れてしまい、リスク分散ができないという事態に陥りかねません。

投資を行う際は定期預金など一部安全性の高い資産を残しつつ、余剰資金を利用することがベストです。全財産をリスク資産で運用した場合、大きな下落が発生すると、資産全体の毀損が大きくなり、資産運用を継続できなくなる可能性もあるでしょう。

例えば、投資対象が20%下落した場合を考えると、定期預金が資産全体の50%とした場合、その部分の資産は当然ながら毀損しません。

そのため、資産全体で考えた場合、損失はリスク資産の50%のみになるため、資産価値全体の10%の損失で抑えることができます。

一方で、利用できる資産を全てリスク資産で運用した場合、自身の資産が直接20%マイナスの影響を受けてしまい、大きく資産が減少することになります。

「投資」はリターンばかりを考えるのではなく、予想外のシナリオが発生した場合に備えてリスクを分散するという観点が重要です。

資産全体における投資割合を考え、手元に定期預金などの安全資産に割合を残しておきながら、その割合を調整する工夫が長期的に投資を継続するために重要なポイントになります。

3. まとめ

新NISAがスタートしたことによって、投資上限額が年間360万円まで大幅に拡充され、投資の選択肢がより一層広がることとなりました。

しかし新NISAは利益に対して税金が非課税になるものであり、利益を出さないと当然意味がありません。

そのためリスクの取り方ということをまず勉強し、リスク資産の割合をゆっくりと増やしていきながら運用の方法を自分なりに考えて、自身にあった運用を行うということが大切です。

また心理的に負荷がかかるような投資は、リスクの取り方を間違えている可能性があり、近視眼的な視点で投資対象を見てしまうようになるため、心理的にも余裕を持てる割合で、リスク資産の配分を考えて、上手に新NISAの制度を利用して運用するといいでしょう。

参考資料