小さな子どもを連れて外に出ると、どんなに気をつけていても周囲に迷惑をかけてしまうこともしばしば。肩身の狭い思いをした経験のあるママは多いのではないでしょうか。
迷惑をかけてしまったならまだしも、子連れというだけで嫌な顔をされたことがある人もいるかもしれませんね。これは、外出時は最大限気をつかっているのに子どもの存在ってそんなに迷惑?とモヤモヤした、ひとりのママの経験談です。
外出のたびに感じる疲労感
子どもと外を歩いていると、道ばたの石ころに興味を持って急にしゃがみ込んでしまうことがあります。「急に立ち止まったら人にぶつかるかもしれないし、道で座り込んだら通る人の邪魔になるから」と言って無理に手を引こうものなら、今度は大声で泣き出してしまう。座り込んで、テコでも動かない。
子どもが聞き分けできるようになるまでは、わが家でもこうして人に迷惑をかけてしまうことがありました。
「すみません」と謝ったとき、相手の態度はふたつに分かれます。笑顔で「ママとお出かけ? いいね~」とか「いいえ」と答えてくれる人と、無視したり鬱陶しそうな顔をしたりする人。
後者に出会っても、こちらが迷惑をかけたのだから仕方ないと思っていました。しかしあるとき、いつもかなり気をつかっているのに、なんでこんなに居心地の悪さを感じるのだろうと悲しくなったことがあります。
存在自体を否定しないでほしい
迷惑をかけている側が「子どもなんだから仕方ないでしょう」と言っているとすれば、確かにそれは違う気がしますよね。しかし、“子ども”というだけで、そこにいることすら迷惑だ!と言わんばかりに渋い顔をする人も実際にいるのです。
バスや電車を待っているだけで、嫌な顔をされたこともあります。そんなときは、内心モヤモヤ。おとなしく順番を守っているのに、なぜ? 電話をかけているあの人のほうが、知人と会って世間話をしているあの人のほうが、ずっと騒がしいのに…と。
今やインターネットであっという間に情報が拡散する時代。「子連れは混雑する時間帯には電車やバスに乗るな! 時間をずらせないなら、迷惑をかけないようにタクシーを使え」というひとつの意見も、あっという間にいかにも世の常識的な考えとして広がっていきます。
子どもが電車で騒がないように注意することは、親が果たすべき責任のひとつかもしれません。しかし、幼い子どもとその親が電車に乗ることすら否定する発言には、少し疑問を抱いてしまいます。
親側も子どもを連れていく場所には配慮を
さて、子連れが迷惑か?という議論をすると「連れてくるお店はちゃんと選んでほしい」という声がよくあがります。静かな場所や雰囲気のいいレストランにはそのムードを求めている人が集まるので、子どもを連れている側も配慮する必要がありそうです。
これに対して「親だって好きなお店に行きたい」とか「お店が子連れ禁止にしていないのだから、いいのでは?」という反論意見もあります。
私も小さな子どもがいるので、その気持ちは痛いほどよくわかります。子どもを預けようにも、誰の手も借りられない人もいるでしょう。しかし、「相手の気持ちになって考えよう」と子どもに教える立場の親だからこそ、そこにいる人たちの気持ちに思いをめぐらせてみることも必要かもしれません。
ちょっとした理解で救われる気持ち
昔は大人みんなで子どもを育てる感覚で、知らない子どもであろうと間違った行為は注意をしていたようです。同時に、昔は子どもが泣き止まないで困っている親に対して「大丈夫ですよ」とか「うちの子はこうやったら泣きやんだ」と声をかける優しさを持った人が多かったようにも感じます。
子どもが迷惑をかけているのに配慮をしない親に対して「迷惑です」と声をあげることは、正しい行為なのかもしれません。しかし、多くのママは子どもの命を守りながら人に迷惑をかけないように奮闘していること、大人がどんなに頑張っても子どもは思い通りにいかないときがあることを少し理解してもらえると、もっと子育てしやすいのになぁと思います。
人に優しさは強要できないから
子どもを生んで改めて、子育てしにくいと感じることが多々あります。しかし、道を歩いている人に助けられることもグンと増えました。
公共の場に出るとさまざまな事情・価値観の人がいるものです。モヤモヤを抱くことはあるけれど、その感情を「子どもがいるんだから優しくしてよ!」という理不尽な主張に変えないように。これ以上子連れが迷惑がられないよう、それだけは気をつけたいと思います。
***投信1はLIMOに変わりました***
桜井 まどか