少子高齢化や、出生数の減少というニュースを目にすると、将来年金は受け取れるのだろうか?と不安に思う方は多いのではないでしょうか。
そんな中、8月2日に厚生労働省から、2023年度「厚生年金保険・国民年金の収支決算の概要」が公表されました。
年金積立金は過去最高額の255兆5650億円で前年度から47兆5740億円増加し金額・伸び幅ともに過去最高となりました。
この発表は明るいニュースとなりましたが、私たちの老後が約束されたわけではありません。
今回は厚生年金制度の仕組みをはじめ、現状シニア世代の金銭事情について考察を行います。
ゆとりある老後を過ごすためにも現状の受給額を確認していきましょう。
1. 公的年金制度のしくみ
日本の公的年金制度はどのようなしくみになっているのかを見ていきましょう。
上記のように、日本の公的年金は「国民年金」と「厚生年金」の2階建てになっています。
1.1 国民年金とは(1階部分)
- 原則、日本国内に住む20歳以上60歳未満の全員に加入義務がある
- 保険料は一律
- 納付した期間に応じ、将来もらえる年金額が決まる
1.2 厚生年金とは(2階部分)
- 公務員やサラリーマンなどが加入する
- 収入に応じた保険料を支払う(上限あり)
- 加入期間や納付額に応じ、将来もらえる年金額が決まる
国民年金の保険料は毎年度改定されますが、一律となっています。
一方で厚生年金は、年金額が加入期間や現役時代の保険料納付額に応じて決まります。そのため、受給額に個人差が出やすくなっています。
それではここで、厚生年金の平均月額がどれくらいなのか、確認しておきましょう。
1.3 厚生年金の平均年金月額
- 〈全体〉平均年金月額:14万3973円
- 〈男性〉平均年金月額:16万3875円
- 〈女性〉平均年金月額:10万4878円
※国民年金部分を含む
厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、上記のようになっています。
厚生年金全体の平均の月額受給額は14万3973円で、男性が約16万円、女性は約10万円となっています。女性は男性より約6万円も少ないことがわかります。
月額10万円台の年金では、毎月の生活費を年金でまかなおうとすると、生活が苦しいという方もいるのではないでしょうか。
では、年金が「10万円台」の方はどれほどいるのでしょうか。
次章では、厚生年金を「月額10万円以上」受給する人の割合を見ていきましょう。