「貯蓄」をしている自分以外の投資家の「お財布」事情には興味があるものの、他人に「お金」の話は聞きにくいというのが本音ではないでしょうか。日本証券業協会が2018年1月に発表をした「個人投資家の証券投資に関する意識調査報告」から有価証券投資をしている40代の投資家の特徴ついてみていきましょう。

同調査は、全国の個人投資家(20歳以上)の5073人にアンケートを実施。株式、投資信託、公社債のいずれか、もしくは複数保有している層に対して行った調査です。

貯蓄が増えない「逃げ切れなさそうな40代」

総務省は2018年5月に「家計調査報告」[貯蓄・負債編]平成29年(2017年)平均結果の概要として調査結果を発表しています。同調査では、二人以上の世帯に関して世帯主の年齢階級別貯蓄や負債現在高を公表しています。

その調査によれば、40代は「貯蓄が増えずに、負債が増える」という厳しい世代ということがデータから分かります。40代は現在働き盛りにもかかわらず、貯蓄状況からすれば順風満帆というわけではないのです。

「貯蓄」とは「貯金」とは違う

総務省によれば「貯蓄」とは、ゆうちょ銀行、郵便貯金・簡易生命保険管理機構(旧郵政公社)、銀行及びその他の金融機関(普通銀行等)への預貯金、生命保険及び積立型損害保険の掛金(加入してからの掛金の払込総額)並びに株式、債券、投資信託、金銭信託などの有価証券(株式及び投資信託については調査時点の時価、債券及び貸付信託・金銭信託については額面)といった金融機関への貯蓄と、社内預金、勤め先の共済組合などの金融機関外への貯蓄の合計を言います。

「貯蓄」には「貯金」、「預金」といった安全資産だけではなく、有価証券などのいわゆるリスク資産も含まれていることに注意が必要です。表現としてはどちらかというと「金融資産」という方が近いかもしれません。

40代の投資家はどういった金融商品を保有しているか

前置きが長くなりました。ここまで40代の金融資産を取り巻く現状と、「貯蓄」と「貯金」の違いを確認したところで、日本証券業協会の「個人投資家の証券投資に関する意識調査報告」の調査での40代の投資家がどのような金融商品に投資をしているのか見ていきましょう。

以下は、それぞれの貯蓄の金融商品に対してどれくらいの比率が保有しているかの割合を示したものです。

  • 預貯金:93.8%
  • 株式:75.6%
  • 保険:53.9%
  • 投資信託:54.9%
  • 公社債:11.5%
  • 信託7.9%

40代投資家も株式投資の経験者は多い

みなさんの印象はいかがでしょうか。預貯金の9割超の保有比率は多くが納得するところでしょう。もっとも預貯金を保有しない方が6%もいるのかという驚きもあるかと思います。

また、株式は8割近く、投資信託も半分近くの投資家が保有していることが分かります。一方で、保険が印象としては少ないのかなと考える人も多いのではないでしょうか。

まとめにかえて

もっともこの調査は株式や投資信託をすでに保有している人にしている調査なので株式の保有比率が8割近くあるのも当然かもしれません。

ただ、「預貯金だけで貯蓄とよべる投資をしていない」という方は、自分以外の同年代にもリスク資産に投資をしている人がいるということに気づくことからでもよいのでしょうか。「お金」の話は他人に聞きにくいのは年齢が進んでも変わりません。

青山 諭志