「貯蓄」をしている自分以外の投資家の「お財布」事情は興味があるものの、「お金」の話は聞きにくいというのが本音ではないでしょうか。日本証券業協会が2018年1月に発表をした「個人投資家の証券投資に関する意識調査報告」から有価証券投資をしている投資家のプロファイルについてみていきましょう。

投資家の金融資産はどうなっているのか

同調査は、全国の個人投資家(20歳以上)の5073人にアンケートを実施。株式、投資信託、公社債のいずれか、もしくは複数保有している層に対して行った調査です。

同調査の回答者の金融資産保有額レンジと割合は以下の通りです。

  • 10万円未満:1.8%
  • 10万円から50万円未満:2.8%
  • 50万円から100万円未満:5.3%
  • 100万円から300万円未満:12.0%
  • 300万円から500万円未満:11.6%
  • 500万円から1000万円未満:17.1%
  • 1000万円から3000万円未満:28.2%
  • 3000万円から5000万円未満:10.5%
  • 5000万円以上:10.7%

その中で、同調査による金融資産についての推定の平均保有額は1828万円。決して少なくはない金額です。とはいえ、半数は金融資産の保有額は1000万円以下となっています。また、同調査からは金融資産が100万円未満の方も10%いることが分かります。金融資産の多寡にかかわらず、実りある貯蓄を目指して資産運用に励まれている姿が垣間見えます。

金融資産1000万円から3000万円未満がもっとも多い

また、人数としては、金融資産が1000から3000万円未満の層が最も多く、約3割近くあります。この金融資産の中には預貯金も含まれますので、必ずしも金融資産がリスク資産ではありません。

今回の調査ではそもそも有価証券投資をしている方が調査対象となっていますので、全額が安全資産というわけではありません。リスク資産が含まれていることになります。そう考えれば、資産の運用をすることが可能な金額はそれほど小さくないということが言えます。

【ご参考】「貯蓄」の定義ではリスク資産への投資を含んでいる

総務省によれば「貯蓄」とは、ゆうちょ銀行、郵便貯金・簡易生命保険管理機構(旧郵政公社)、銀行及びその他の金融機関(普通銀行等)への預貯金、生命保険及び積立型損害保険の掛金(加入してからの掛金の払込総額)並びに株式、債券、投資信託、金銭信託などの有価証券(株式及び投資信託については調査時点の時価、債券及び貸付信託・金銭信託については額面)といった金融機関への貯蓄と、社内預金、勤め先の共済組合などの金融機関外への貯蓄の合計を言います。「貯蓄」には「貯金」、「預金」といった安全資産だけではなく、有価証券などのいわゆるリスク資産も含まれていることに注意が必要です。表現としてはどちらかというと「金融資産」という方が近いかもしれません。

青山 諭志