親が亡くなったとき、「まずATMでお金を引き出してから銀行に連絡すれば大丈夫」と思っている人は多いのではないでしょうか?実は、これはNG行動です。このような行為は法律違反であり、後々大きなトラブルを引き起こす可能性があります。
この記事では、親が亡くなった際に取るべき適切な手続きと、その理由について詳しく解説していきます。遺産相続の手続きを円滑に進めるための正しいステップを理解し、トラブルを未然に防ぎましょう。
1. 相続税実地調査の状況
2023年12月に国税庁が発表した「令和4事務年度における相続税の調査等の状況」によると、申告額が過少であると想定される場合に行われる実地調査件数は8196件となり、対前事務年度比129.7%の増加となりました。
申告漏れによる追徴税額合計は669億円と同119.5%増加しています。
この統計からわかるように、適切な相続手続きを怠ると大きなリスクを伴う可能性があります。仮に相続税の申告漏れが発覚すると、多額の追徴税が課されるだけでなく法的トラブルに発展することも。
また、相続人間のトラブルも避けられません。遺産分割の合意を得られない状態での手続きは、家庭内の不和や長期的な法廷闘争に発展する可能性があります。相続手続きの適切な進行はこれらのリスクを回避し、安心して財産を引き継ぐために極めて重要になるのです。
次章では、相続手続きの流れを確認していきましょう。
2. 相続手続きの流れ
では次に、実際必要とされる銀行の相続手続きの流れについて説明していきます。
2.1 まずは銀行に連絡・口座の凍結
親が亡くなった場合、すぐに銀行に連絡して口座を凍結してもらいましょう。口座が凍結されると公共料金やクレジットカードの引き落としが停止されますので、支払いが滞らないよう各サービス提供会社に連絡し、指示に従ってください。
もし銀行への連絡を怠ると不正な引き出しを防げず、後々相続手続きが複雑になることも。
実際に凍結前にATMで資金が引き出され、他の相続人との間でトラブルが発生するケースはよく見られます。
初動作としてまず銀行へ速やかに連絡することで、相続手続きはよりスムーズになるでしょう。
2.2 凍結解除に必要な書類の準備
口座凍結解除のために、必要書類を準備しましょう。各銀行で必要な書類は多少異なりますが、一般的には亡くなった方の戸籍謄本や相続人の印鑑証明書が必要となります。
また、遺産分割協議書を作成した場合も銀行へ提出が必要です。さらに、法務局発行の法定相続情報一覧図を作成することも手続きの簡略化となります。
事前に必要書類の確認をしておくとスムーズに手続きを進めることができるでしょう。
2.3 相続間での話し合い
次はいよいよ相続手続きの山場である遺産分けの話し合いを行う段階です。この話し合いには、すべての相続人が参加し、相続人全員が分配内容に合意することが求められます。
しかし逆に言えば、全員が合意するのであればどのような分け方でも問題ありません。金融機関が指定する書面形式に相続人全員が署名し、捺印することで合意の証となります。
2.4 金融機関への提出・名義変更手続き
書類を準備したら銀行に提出し、相続手続きを開始します。 郵送や窓口での提出が一般的で、金融機関によっても異なりますが、提出後2〜3週間で手続きが完了することが多いようです。書類に不備がないあると手続きは長引きますので、内容をよく確認したうえで提出することが重要です。提出した書類に不備が無ければ、銀行では相続人が指示したとおりに解約や名義変更手続きを行います。
3. まとめにかえて
適切な相続手続きを進めることは遺産分割を円滑に進めるために極めて重要です。遺産分割がスムーズに行われないと相続人間でのトラブルが発生しますし、相続税の申告漏れが発覚すると法的な問題に発展することもあります。相続手続きを正確に進めることは、こうしたリスクを避けるために非常に重要になります。
参考資料
石川 美香