5. 国民年金保険料の納付が難しい場合「免除・納付猶予」制度はあるか
所得金額が一定額以下の場合、国民年金保険料の免除や納付猶予制度の対象となります。
免除や納付猶予を受けた期間は、実際は保険料を納めていなくても、老齢基礎年金の受給資格期間に含まれます。
免除を受けた場合は実際に受け取る年金額にも反映されるため、保険料を納めていなくても将来の年金受給額が増えていきます。
保険料免除と納付猶予の対象者要件は、わずかに異なります。対象となる要件は以下のとおりです。
- 保険料の免除:本人・世帯主・配偶者の前年所得(1月から6月までに申請する場合は前々年所得)が一定額以下の場合や失業した場合など、保険料を納めることが経済的に困難な場合
- 保険料の納付猶予:20歳以上50歳未満の方で、本人・配偶者の前年所得(1月から6月までに申請する場合は前々年所得)が一定額以下の場合
免除や納付猶予を受けるには、いずれも所定の申請書を年金事務所へ提出して承認を受ける必要があります。
また、免除・猶予となる金額は、その人の所得額に応じて決まります。国民年金保険料の免除割合や免除・納付猶予となる所得金額は、以下のとおりです。
- 全額免除:(扶養親族等の数+1)✕35万円+32万円
- 4分の3免除:88万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等
- 半額免除:128万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等
- 4分の1免除:168万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等
- 納付猶予:(扶養親族等の数+1)✕35万円+32万円
所得が67万円以下であれば、保険料が全額免除となります。
年金保険料の未納は好ましくありませんが、免除や納付猶予制度の活用は法律で認められているため、決して悪いことではありません。
収入が少なく年金保険料を納めるのが難しい人は、年金事務所で免除や納付猶予制度の活用を相談してみましょう。
6. まとめにかえて
国民年金保険料の納付は、毎回必ず適切に行わなければなりません。
近年では社会保険料の負担増から「年金を納める代わりに投資に回したい」「どうせもらえないから意味がない」といった意見も目立ちます。
しかし、年金は毎年計算できる収入を終身で受け取れるのがメリットです。
また、年金制度が破綻することは考えにくく、今後も制度運用が続くものと考えられます。
年金に加入する必要がある以上、保険料納付という義務は必ず果たす必要があります。
差押え対象とならないよう、国民年金保険料は忘れずに納めましょう。
参考資料
- 日本年金機構「国民年金保険料」
- 日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
- 日本年金機構「令和6年4月分からの年金額等について」
- 日本年金機構「日本年金機構の取り組み(国民年金保険料の強制徴収)」
- 日本年金機構「国民年金保険料の延滞金」
- 日本年金機構「延滞金について」
- 日本年金機構「国民年金保険料強制徴収の実施状況」
- 厚生労働省「平成25年度における国民年金保険料の納付状況と今後の取組等について(平成25年度の取組実績)」
- 日本年金機構「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」
石上 ユウキ