3. 相続税増税のダメージを受けないための回避策はある?

相続税の増税をできる限り避けるためには、以下の2つの制度を活用するとよいでしょう。

  • 相続時精算課税制度
  • 贈与税の非課税枠(基礎控除110万円)

ただし、完全に相続税の負担増を回避できるとは限りません。財産額や財産から差し引かれる金額(葬式費用など)によっては、制度を利用しても多少の負担が生じる場合があります。

とはいえ、制度を活用しない手はありません。ぜひ制度の活用を検討してみてください。

3.1 【2024年改正】「相続時精算課税制度」を活用でより積極的な生前贈与を

相続時精算課税制度の活用により、相続税額の負担を緩和できる可能性があります。相続時精算課税制度は、生前贈与の際に財産額2500万円まで贈与税を非課税にできる代わりに、贈与した人が亡くなったときに、生前受け取った財産額をすべて相続税の課税対象とする制度です。生前贈与の財産が2500万円を超えた場合、超えた金額に対して20%の贈与税が課されます。

相続時精算課税制度は2024年に制度改正があり、非課税となる2500万円とは別に、年110万円の基礎控除額が設けられました。110万円までの贈与であれば、贈与税はもちろん相続税もかかりません。毎年110万円ずつ贈与していくことで、より多くの財産を生前に贈与できます。

また、相続税は基礎控除額が「3000万円+600万円×法定相続人数」と大きいため、相続税が課税される財産額を大幅に減らせる可能性があります。

加えて、生前に不動産や株式を贈与する場合は、取得時点の価額をもとに税金を計算します。そのため、相続開始時点で不動産や株式の価額が上昇した場合の税負担増加を防げます。

ただし、相続時精算課税制度は税負担を先送りしているだけの制度です。遺産の金額によっては相続時精算課税制度を利用しても相続税が課税される可能性もあります。相続税を完全に回避できるわけではない点に注意してください。