2018年始めにかけてビットコイン、イーサリウム、リップル、ネムなど様々な仮想通貨の価格が大きく上昇しました。今回はそうしてデジタル資産(アセット)を世界のお金持ちがどのように見ているのかについてみていきましょう。
デジタルゴールドともいわれるビットコイン
ビットコインはデジタルゴールドともいわれ、過去大きく値上がりしてきたことから、その資産性や決済機能にも注目が集まっています。その一方で、ビットコインはブロックチェーン技術を活用してデジタル空間に存在しているため、法定通貨の紙幣や硬貨と違い、手に取って確かめることはできません。したがって、年齢層が高い「お金持ち」からみると「ビットコイン?よくわからないなぁ」というのが実際なのではないでしょうか。
今回は「HNWI」と呼ばれる世界の「お金持ち」に仏のコンサルティング会社であるキャップジェミニが実施した調査結果である「World Welth Report 2018」を参考にしながら、世界のお金持ちが仮想通貨に対してどのようなスタンスなのかについてみていきましょう。
ちなみに、キャップジェミニは同調査の中で「1百万米ドル(約1億円)以上の投資資産を保有」する人たちのことをHNWI(High Net Worth Individual、ハイ・ネット・ワース・インディビジュアル)と呼んでいます。いわゆる「富裕層」といってよいかもしれません。
世界の「お金持ち」の仮想通貨に対する興味はどうか
同調査によれば、世界で見ると、仮想通貨に対して興味のレベルが高い(High Interest Levels)としたのが29%、興味のレベルは低い(Low Interest Levels)としたのが44%、そのどちらでもない(On The Fence)のが27%としています。
また、日本で見れば興味のレベルが高いのは15%、興味のレベルが低いのが51%、そのどちらでもないのが34%となっており、仮想通貨取引が盛んな日本でありながら世界のHNWIと比べて興味のレベルが低い層が大きく見えます。
もっとも他の先進国地域でも日本の状況とあまり変わりがなく、欧州や北米も仮想通貨に対してはやや冷めた目で見る人が多いという結果になっています。
その一方で、ラテンアメリカやアジア・パシフィック(日本除く)では興味を持っている人たちが多く、新興国などのHNWIに好かれる仮想通貨という格好になっています。
【ご参考】世界の「お金持ち」である「HNWI」の定義について
キャップジェミニは「1百万米ドル(約1億円)以上の投資資産を保有」する人たちのことをHNWI(High Net Worth Individual、ハイ・ネット・ワース・インディビジュアル)と定義しているというのは先に触れたとおりですが、この投資資産の中には個人所有の住居、コレクション(蒐集品)、消耗品、耐久消費財は含まれていません。あくまでも金融商品などの投資可能な資産となります。日本人は自分が主として住む住居に投資をすることがよくありますが、そうした不動産はHNWIを定義する際に織り込む資産には含まないというのが注意が必要です。
青山 諭志