「お金」の話は仲の良い友人や知人にでも聞きにくいもの。ただ、やはり気になるのは他人のお金事情。「お金がない」というと、「いま財布にお金がない」ということを意味することもありますし、一方で「給料日前で銀行の口座にお金がない」等、様々な意味があるかと思います。今回は銀行などの口座にお金がない世帯はどれくらいあるのかについてみていきましょう。

貯蓄ゼロ世帯とは

2017年11月に発表されました金融広報中央委員会(事務局 日本銀行情報サービス局内)による「家計の金融行動に関する世論調査」[二人以上世帯調査](2017年)によると、「金融資産の有無」の調査において「銀行等の預金口座、または証券会社等の口座に残高がないと回答した世帯は14.1%」としています。この14.1%には「口座は保有しているが、現在、残高はない」と回答した世帯および「口座を保有していない」と回答した世帯の合計が含まれています。

「口座に残高がない」と耳にすると「それは本当か?」と考えてしまう人もいるかもしれません。そこでここでは別の調査結果についても見てみることにしましょう。

貯蓄現在高が100万未満の世帯はどれくらい

2018年5月に総務省(統計局)が発表した「家計調査報告(貯蓄・負債編)」によれば、二人以上の世帯の貯蓄現在高を見てみると、「貯蓄現在高が100万円未満」が10%いるとされています。

総務省による調査と先ほどの金融広報中央委員会による調査とでは、調査対象も異なり位置外の比較はできませんが、「14%」と「10%」という数値そのものを比べるとそれほど大きくは乖離していない数値ともみえます。

もっとも、総務省の貯蓄には預貯金以外の金融商品も含まれています。いわゆる「貯金」、「預金」だけではないことに注意が必要です。同調査でいう「貯蓄」とは、ゆうちょ銀行、郵便貯金・簡易生命保険管理機構(旧郵政公社)、銀行及びその他の金融機関(普通銀行等)への預貯金、生命保険及び積立型損害保険の掛金(加入してからの掛金の払込総額)並びに株式、債券、投資信託、金銭信託などの有価証券(株式及び投資信託については調査時点の時価、債券及び貸付信託・金銭信託については額面)といった金融機関への貯蓄と、社内預金、勤め先の共済組合などの金融機関外への貯蓄の合計を言います。

また、同調査の貯蓄は世帯全体の貯蓄であり、また、個人営業世帯などの貯蓄には家計用のほか事業用も含めるとされています。したがって、個人事業主においてはそれに関係する資産も含まれるという点にも留意する必要があります。

お金がない世帯の比率は少なくない

総務省の調査結果については、いわゆる預貯金だけではないにせよ、生命保険やそれ以外の金融商品も含めて100万円未満の二人以上の世帯が10%あるということになります。先ほどの金融広報中央委員会の調査結果も踏まえて考えると、いわゆる「貯蓄ゼロ世帯」およびその可能性がある世帯の割合については、決して少なくはない比率といえるのではないでしょうか。

青山 諭志