4. 働きすぎたら年金が全額カットの可能性も「在職老齢年金」に注意
定年後に働く期間が多すぎると「在職老齢年金」の制度により、在職中に受け取れる年金額が減ってしまいます。
在職老齢年金は、70歳未満の人が会社に就職して厚生年金保険に加入した場合や、70歳以上の人が厚生年金保険の適用事業所に勤めた場合に、老齢厚生年金の額と給与や賞与の額に応じて、年金の一部または全額が支給停止となる制度です。
在職老齢年金の計算は、以下の基準に則って行われます。
〈基本月額と総報酬月額相当額との合計が50万円以下〉
老齢厚生年金は全額支給。
〈基本月額と総報酬月額相当額との合計が50万円超〉
老齢厚生年金は一部または全額支給停止。支給額は以下の計算式で決まる。
- 基本月額-(基本月額+総報酬月額相当額-50万円)÷2
※基本月額:加給年金額を除いた老齢厚生(退職共済)年金(報酬比例部分)の月額
※総報酬月額相当額(その月の標準報酬月額)+(その月以前1年間の標準賞与額の合計)÷12
年金と月に受け取る報酬の合計が50万円を超えるかどうかで、年金の支給額が変わってきます。50万円以下の場合は厚生年金が全額支給され、50万円を超える場合は、一部または全部の年金が支給停止となります。
特に現役時代や定年後に受け取る給与が高い人は、年金+収入が50万円を超えやすく、厚生年金が支給停止となる可能性が高いです。定年後に受け取る給与や賞与を見直し、年金支給停止の対象となるかどうか確かめておきましょう。
一方、在職中には年金が支給停止となるだけでなく、年金額が再計算されるケースもあります。これを「在職定時改定制度」といいます。詳細について、次章で見ていきましょう。