2024年7月上旬に公表された厚生労働省の「2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況」によると、65歳以上の高齢者世帯の59.0%が「生活が苦しい」と回答しています。
昨年度の同調査では、生活が苦しいと回答した高齢者世帯は48.3%であることから、この数年で生活が困窮した人が増えていることがみてとれます。
生活が以前よりも苦しくなったと感じる背景として、物価高や円安などの影響も考えられますが、年金が実質目減りになっている現状も要因としてあるのでしょう。
では、現在のシニア世代は年金をいくら受け取っているのでしょうか。
本記事では「年金の平均受給額」や「年金額の実質目減りの現状」などについて詳しく紹介していきます。
「100%年金だけで生活している高齢者世帯の割合」についても紹介しているので、あわせて参考にしてください。
1. 年金だけで100%生活している人は4割しかいないって本当?
冒頭でお伝えしたように、現代では、高齢者世帯の約6割が「生活が苦しい」と感じている実態があります。
老後の収入源の柱は公的年金となりますが、厚生労働省の「2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況」によると、100%年金だけで生活している人は全体の「41.7%」しかいません。
【公的年金・恩給を受給している高齢者世帯】
- 公的年金・恩給の総所得に占める割合が100%の世帯:41.7%
- 公的年金・恩給の総所得に占める割合が80%~100%未満の世帯:17.9%
- 公的年金・恩給の総所得に占める割合が60~80%未満の世帯:13.9%
- 公的年金・恩給の総所得に占める割合が40~60%未満の世帯:13.2%
- 公的年金・恩給の総所得に占める割合が20~60%未満の世帯:9.3%
- 公的年金・恩給の総所得に占める割合が20%未満の世帯:4.0%
上記の結果から、高齢者世帯の半数以上が年金だけでは生活できていない現状がうかがえます。
約6割の世帯においては年金だけでは生活費が賄えないため、稼働所得や老後資金などで補填しているのでしょう。
「老後は年金で生活する」と漠然と考えていた人にとっては厳しい現実かもしれません。
では実際のところ、老後に受け取れる年金額はどのくらいなのでしょうか。
次章にて、公的年金の年金受給額の平均をみていきましょう。