2024年7月25日に厚生労働省がリリースした「令和6年度地域別最低賃金額改定の目安について」によると、各都道府県で目安通りに最低賃金の引き上げが行われた場合の全国加重平均は「1054円」になるとのことです。
去年に引き続き、今年も最低賃金が大きく引き上げられることとなり、その上昇額は全国平均で50円と過去最高額になる見込みです。
企業の賃上げ機運が高まる一方、そこから取り残されている方も少なからずいる中で、今回の最低賃金引き上げによる生活の下支え効果が期待されています。
しかし、「年収の壁」があることにより、最低賃金の増加を手放しで喜ぶことはできません。
今回は、都道府県別の最低賃金の目安を確認するとともに、最低賃金の増加を手放しで喜べない理由について詳しく見ていきましょう。
1. 都道府県別の最低賃金の目安
都道府県の経済実態に応じ、全都道府県をABCの3ランクに分けて、引上げ額の目安が提示されています。
今回の引上げ額の目安については、A~Cランクまで一律で50円としています。この通りで決定されれば、都道府県別の最低賃金の目安は以下のようになります。
1.1 都道府県ごとの最低賃金の目安
- 北海道 1010円
- 青森県 948円
- 岩手県 943円
- 宮城県 973円
- 秋田県 947円
- 山形県 950円
- 福島県 950円
- 茨城県 1003円
- 栃木県 1004円
- 群馬県 985円
- 埼玉県 1078円
- 千葉県 1076円
- 東京都 1163円
- 神奈川県 1162円
- 新潟県 981円
- 富山県 998円
- 石川県 983円
- 福井県 981円
- 山梨県 988円
- 長野県 998円
- 岐阜県 1000円
- 静岡県 1034円
- 愛知県 1077円
- 三重県 1023円
- 滋賀県 1017円
- 京都府 1058円
- 大阪府 1114円
- 兵庫県 1051円
- 奈良県 986円
- 和歌山県 979円
- 鳥取県 950円
- 島根県 954円
- 岡山県 982円
- 広島県 1020円
- 山口県 978円
- 徳島県 946円
- 香川県 968円
- 愛媛県 947円
- 高知県 947円
- 福岡県 991円
- 佐賀県 950円
- 長崎県 948円
- 熊本県 948円
- 大分県 949円
- 宮崎県 947円
- 鹿児島県 947円
- 沖縄県 946円
1.2 最低賃金が1000円を超えるのは16都道府県
都道府県別の目安から、最低賃金が1000円を超える見込みの都道府県を以下に抜粋します。
- 北海道 1010円
- 茨城県 1003円
- 栃木県 1004円
- 埼玉県 1078円
- 千葉県 1076円
- 東京都 1163円
- 神奈川県 1162円
- 岐阜県 1000円
- 静岡県 1034円
- 愛知県 1077円
- 三重県 1023円
- 滋賀県 1017円
- 京都府 1058円
- 大阪府 1114円
- 兵庫県 1051円
- 広島県 1020円
全都道府県で最低賃金が50円増加すれば、1000円を超える都道府県が16ヵ所になる見込みです。
ただし、現時点では50円以上になる都道府県もあるとされており、実際には1000円を超えるところがもっと増える可能性も高いです。
以前よりも給料が増えるのは喜ばしいことですが、必ずしも手放しでは喜べません。
2. 最低賃金の増加を手放しで喜べない理由
税金や社会保険料の負担が生じることで、手取り額が減少する可能性があるラインのことを、一般的に「年収の壁」と呼びます。
賃金上昇によって年収の壁を超えてしまう可能性があり、人によっては労働時間の調整が必要になるかもしれません。
そのため、年収の壁を意識して働いているパートやアルバイトなどの方は、必ずしも賃金の増加を手放しでは喜べないのです。
2.1 10月から社会保険の適用範囲拡大も
社会保険上の年収の壁には、106万円と130万円の2つがあります。
現在、年収が130万円を超える場合は社会保険への加入が義務付けられており、扶養から外れることになります。
また、以下の要件をすべて満たす場合も社会保険への加入義務が生じます。
- 使用される従業員が常時101人以上
- 週の所定労働時間が20時間以上
- 所定内賃金が月額8万8000円以上(残業代・賞与を除く)
- 2ヶ月を超える雇用の見込みがある
- 学生ではない
※「所定内賃金が月額8万8000円」を年収に換算すると約106万円になるため、「106万円の壁」と言われています。
加入義務が発生する要件の1つに、「使用される従業員が常時101人以上」とありますが、2024年10月以降は「使用される従業員が常時51人以上」の企業へと適用範囲が拡大する予定です。
それにより、これまで社会保険に加入せずに働いていた方も、10月から新たに加入義務が発生する可能性があります。
社会保険への加入によって将来の年金額が増えたり、手厚い保障制度を受けられたりと、一定のメリットはありますが、社会保険料の負担によって手取り額が減少するという大きなデメリットがあります。
一方で、こうした年収の壁への対応策として、2023年10月から「年収の壁・支援強化パッケージ」が導入されています。
3. 年収の壁・支援強化パッケージとは
「年収の壁・支援強化パッケージ」とは、年収の壁を意識せずに働くための施策のことです。
社会保険上の年収の壁である「106万円の壁」と「130万円の壁」に対応した施策で、具体的には以下のような対応が行われます。
「106万円の壁」への対応策
手取り収入を減らさない取組を行う企業に対し、労働者1人当たり最大50万円の支援を行う
「130万円の壁」への対応策
収入が一時的に上がったとしても、事業主の証明によって引き続き被扶養者認定が可能となる仕組みを作る
この施策により、パートやアルバイトの方が就業時間を気にせず働けるようになるほか、企業側としては働き控えによる人手不足が深刻化せずに済むといった効果が期待できます。
4. まとめにかえて
最低賃金は全国平均で「時給1054円」に上昇する見込みであり、これにより給料が増加する方もいらっしゃるでしょう。
しかし、年収の壁が存在する以上、賃金の増加を手放しでは喜べません。
現在は「年収の壁・支援強化パッケージ」によって年収の壁への対応が行われていますが、あくまでも暫定的な措置です。
今後も制度の見直しに取り組むと公表されてはいますが、内容によっては働き方を変える必要があるかもしれません。
政府の情報をこまめにチェックし、勤務先と相談しながら今後の働き方を考えていきましょう。


